「社員の副業」が招くトラブル予防法:小遣い程度の稼ぎのつもりが…(5/5 ページ)
副業に対する企業の考え方も従来とは変わり、「一律禁止」から「緩やかに許可」するケースも増えています。しかし、行き過ぎた副業はトラブルになることも……。企業はどう対処すればよいのか、事例に学びます。
事例7:家族に会社を経営させ、アドバイザー的な立場で収入を得ていたG
副業というよりは、完全にビジネスといえそうですが、近年、家族を代表取締役にして会社を設立し、実質的には、ご自身が経営するケースが増えてきています。
Gの場合も、奥さんがもともとやりたかったサロンを営業し、自らもコンサルティングを行ったり、取引先を紹介するなどして収入を得ていました。
代表の方がきちんと状況を理解していれば、法的には特段問題はなさそうなケースですが、Gは勤め先の飲み会のたびに自身の武勇伝を語り、サロンの経営が順調なことを自慢していたため、不満に思った社員から人事部に「不公平だ」とクレームが入りました。
管理のポイント
直接的な副業のみを対象とした報告や許可制を取っている会社も多いかと思いますが、実は、事例のような間接的な副業が穴になっていることも決して少なくありません。
とくに、会社の人脈や情報、ノウハウなどを利用して事業を拡大していたような場合、法的な問題が出てくる可能性もあります。このようなケースも想定した社内規定の整備が必要です。
一口に副業と言ってもさまざまな形態があり、多様なリスクが存在します。トラブルを防ぐには、上記に掲げたような社内規定をつくっておくとよいでしょう。
もちろん、つくれば安心というわけではなく、副業をしている社員から定期的に報告を受けたり、継続的にルールを見直すことも必要です。
また、そうした報告の場を社員の相談に乗る機会と位置付け、お互いのためになる改善に向けて活用していきましょう。(西内孝文)
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