上司の言動から部下は学ぶ――信頼関係を築く「あいさつ」の基本:反面教師とならないための「上司」のマナー(2/2 ページ)
「私がきちんとあいさつしても、上司はきちんとあいさつしてくれません」―― あなたの会社では、これと同じようなことは起きていませんか?
部下の心を開くには
あいさつは、上司と部下が互いに信頼関係を構築するための第一歩。なかでも、朝のあいさつは重要なマナーの1つです。相手の心に響く、よいあいさつの5か条とは次のとおりです。
- 自らすすんで
- 相手と目を合わせながら
- 元気よく朗らかな声で
- ほほえみながら
- プラスαの言葉を添える
まず、部下からあいさつするのが当たり前という認識を捨てましょう。また、せっかくのあいさつも、誰に向けたものか分からなければ、相手も適当に返すしかありません。しっかり目を見ながらあいさつするようにしてください。
あいさつという言葉には「押して開く」という意味があり、相手の心を開くには、「あなたとコミュニケーションを取ろうとしています」と、心をこめることが大切なのです。
部下の数が多いなら、全員の顔を見回しながらでもかまいません。コミュニケーション上の効果だけでなく、1人ひとりの体調や精神面の状態を推し量ることにも役立ちます。
朝のさわやかな気分を盛り上げるには、元気よく朗らかな声で行うことも大切です。声のトーンが相手に与える心理的影響は大きく、「よし、今日もよい1日にしよう」と相手が思えるようなあいさつを心がけましょう。
さらに重要なのが「視覚」による情報です。笑顔は、相手に安心感や幸福感をもたらします。上司の役割の1つは、部下が安心して気持ちよく働ける環境をつくること。そのことを意識すると、あいさつも変わってきます。
最後は、プラスαの言葉を添えましょう。「昨日は遅くまで頑張ってくれたね」といった具合です。紋切り型の言葉だけでなく「その人に向けたメッセージ」を伝えるのです。
こうした言葉がけをされると、「この人はちゃんと私のことを見ていてくれている」と部下は認識します。小さな承認の積み重ねが、徐々に強固な信頼感を構築していくのです。(佐藤靖子)
著者プロフィール・佐藤靖子
オフィス・サトウ代表 佐藤靖子
経営コンサルティング会社勤務を経て独立。企業・病院・団体向けの各種研修(リーダー育成、コミュニケーション、接遇・マナーなど)を手掛けるとともに個人に対しては目標達成コーチとして活動中。
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