セブン&アイのネットスーパー専用店舗、裏側の仕組みは?:配送の便数は倍以上に(1/3 ページ)
「ネットスーパー」と呼ばれるECサービスを手掛けるスーパーマーケットは多いが、今年3月にセブン&アイHDが開業した「ネットスーパー西日暮里店」は、物流倉庫さながらの専用店舗だった。
「5年後に1兆円を目指す」――。
セブン‐イレブンやイトーヨーカドー、そごう・西武などの流通・小売をはじめ約150社の事業会社を運営するセブン&アイ・ホールディングス(HD)が掲げる2015年度の重要経営方針が「オムニチャネル戦略」だ。
少子高齢化などの影響で国内消費市場が冷え込む中、これまで実店舗が中心だった販売チャネルをインターネットにも拡大し、顧客とのタッチポイントを増やす。オムニチャネル戦略によってセブン&アイHDは、2014年度に1600億円だったEコマース事業の売上高を、2020年度には1兆円に伸ばす計画である。
それに向けた具体的な取り組みとして、同社初のネットスーパー専用店舗「セブン&アイHD ネットスーパー西日暮里店」を2015年3月に開業した。同社グループのネットスーパーとしては、イトーヨーカドーが2001年に葛西店(東京)で始めて以来、全国24都道府県145店舗(2015年3月時点)でサービス展開している。総会員数は約200万人で、年間売上高は500億円に上る。
ただし、これまでのネットスーパーはイトーヨーカドー店舗内の商品棚からスタッフが商品を集荷し、梱包して近隣の顧客に配達するサービスだった。人手による作業が中心で、1日の出荷件数も限られていた。それに対して、ネットスーパー西日暮里店は既存の店舗型ではなく、まるで物流施設のような作りになっているのが特徴である。実際、日本運輸倉庫の東京食品事業支店を賃借利用しているのだ。
ネットスーパー西日暮里店で取り扱うのは、生鮮・一般食料品、衣料品、住関連品の約1万品目。店舗周辺の半径7キロメートル圏内、約118万人・67万世帯を商圏としている。
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