セブン&アイのネットスーパー専用店舗、裏側の仕組みは?:配送の便数は倍以上に(3/3 ページ)
「ネットスーパー」と呼ばれるECサービスを手掛けるスーパーマーケットは多いが、今年3月にセブン&アイHDが開業した「ネットスーパー西日暮里店」は、物流倉庫さながらの専用店舗だった。
配車の効率化で便数を倍以上に
大量の注文をさばけるようになったことに加えて、配送頻度も増やした。既存店舗では1日平均10便体制だが、ネットスーパー西日暮里店は23便体制とした。
この配送の増便を実現するために同社が導入したのが、配車計画を自動化する「Mobile Asset Management Service(MAMS)」というクラウドサービスだ。同サービスは伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)が提供しており、中核の機能はカナダの物流ソリューション企業、DESCARTES SYSTEMS GROUPの製品で構成されている。国内ではセブン&アイHDのほか、インテリア小売大手のニトリグループなどが採用している。また、DESCARTESの製品に関しては、英国の流通大手で、先進的なオムニチャネルの取り組みをみせるTesco(関連記事)もユーザーだという。
物流の世界だと配車計画は担当者がアナログで考えるのがまだ一般的だが、時間がかかる上、担当者の経験と勘に頼る部分が大きい。MAMSを使うと顧客から受注があるとすぐにシステムが車両の空き情報を把握し、配車計画やルート計画などをほぼリアルタイムで立てることができるという。それによって細かな配達時間設定が可能になるし、車両の積載率を高めて収益改善にもつながるとしている。
セブン&アイHDは、2015年10月にオムニチャネルに関する総合サイトを立ち上げるなど、“流通サービス革新の第2ステージ”と位置付けるオムニチャネル戦略を本格化させる。そのための前哨戦として、ネットスーパー西日暮里店での新サービスを是が非でも軌道に乗せたいところだろう。
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