「人の役に立ちたい」という志望理由がダメな理由(1/3 ページ)
「人の役に立つ仕事がしたいのです」――。面接練習においてこう述べる人に、必ずその具体的説明をしてもらうようにするのですが、これまでそれを明確に説明できた人とは、学生だけでなく社会人ですらほとんど会ったことがありません。
著者プロフィール:
増沢隆太(ますざわ・りゅうた)
RMロンドンパートナーズ(株式会社RML慶文堂)代表取締役。東京工業大学特任教授、コミュニケーション戦略家。人事コンサルタント兼大学キャリア教官兼心理カウンセラーで、東工大大学院では「コミュニケーション演習」の授業を行っているほか、企業では人材にも「戦略性」を重視する功利主義的アクティビティを提唱している。
「人の役に立つ」って何?
エントリーシート添削や面接練習においてこう述べる人に、必ずその具体的説明をしてもらうようにするのですが、これまでそれを明確に説明できた人とは、学生だけでなく社会人ですらほとんど会ったことがありません。「人の役に立つ」「社会貢献」を志望動機に挙げる人はゴマンといますが、その志望動機自体を具体的に説明できないのです。
志望動機は企業が選考する上では最重要ポイントの1つ。具体的な説明もできないということは、そこがグラグラに揺らいでいると思われても仕方ありません。一番アピールしなければならないことがアピールとして成立していないのです。ではなぜこのような志望動機を語る人は多いのでしょう。
単に理由を聞き出すだけでなく、私はキャリア「カウンセリング」を行っていますので、そうした行動・思考に至った心のあり方のようなものが見えてきます。実際に一番多い理由は「それが正しいと思ったから」だといえます。就活マニュアル、ノウハウの例でも、「人の役に立つ」「社会貢献」は堂々たる王道の模範例としてたくさん見受けられます。
もし人の役に立ちたいのであれば、ビル・ゲイツやウォーレン・バフェット並みにがんばって仕事で大成功して、大金持ちになって、社会に還元するのがてっとり早いのではないでしょうか。あるいは介護福祉の施設などでヘルパーなどの仕事に就くのはどうでしょう。常に人手不足で募集があります。これらこそ本当に求められ、役に立てる仕事だと思います。しかし圧倒的多くの場合、日本を代表するメーカー、金融、商社といった企業への志望理由でこれらは登場します。
関連記事
- “大きな三角形”をつくった人が、圧倒的に稼ぎまくるワケ
「稼ぐ力」というフレーズが注目されているが、どうすればいいのか分からない人も多いのでは。そこで、リクルートでフェローとして活躍し、その後中学校の校長を務めた藤原和博さんに“稼ぐ方法”について聞いてきた。 - 日本人のここがズレている! このままでは「観光立国」になれません
「訪日客が1300万人を突破」といったニュースを目にすると、「日本は観光立国になったなあ」と思われる人もいるだろうが、本当にそうなのか。文化財を修繕する小西美術工藝社のアトキンソン社長は「日本は『観光後進国』だ」と指摘する。その意味とは……。 - 学生向けの会社説明会では、パワポを使わないほうがいい
「プレゼンでは、パワーポイントを使うものだ」と思っている人も多いのでは。本コラムの筆者・川口氏は「学生向けの説明会では、パワポを使わないほうがよい」と指摘している。その理由は……。 - 不採用の理由を「お答えできない」ワケ
就活中の学生から「エントリーシート(ES)まで進むのに、なぜか面接で落ちる」といった声をよく聞きますが、なぜこうした事態に陥るのでしょうか。その理由は……。
関連リンク
Copyright (c) INSIGHT NOW! All Rights Reserved.