学生向けの会社説明会では、パワポを使わないほうがいい(1/2 ページ)
「プレゼンでは、パワーポイントを使うものだ」と思っている人も多いのでは。本コラムの筆者・川口氏は「学生向けの説明会では、パワポを使わないほうがよい」と指摘している。その理由は……。
著者プロフィール:
川口雅裕(かわぐち・まさひろ)
組織人事コンサルタント (コラムニスト、老いの工学研究所 研究員、人と組織の活性化研究会・世話人)
1988年株式会社リクルートコスモス(現コスモスイニシア)入社。人事部門で組織人事・制度設計・労務管理・採用・教育研修などに携わったのち、経営企画室で広報および経営企画を担当。2003年より組織人事コンサルティング、研修、講演などの活動を行う。
京都大学教育学部卒。著書:「だから社員が育たない」(労働調査会)、「顧客満足はなぜ実現しないのか〜みつばちマッチの物語」(JDC出版)
「プレゼンテーションでは、パワーポイントを使うものだ」というふうに思っている人が多いのだろうが、学生向けの合同会社説明会などをのぞいてみると、全ての会社がパワーポイントとプロジェクターを使って、説明をしている。あれは、どうみても逆効果であるので、やめたほうがよい。
パワーポイントは、1枚に入る情報量に限りがあるので、どうしても枚数が多くなる。約20〜30分の会社の説明に、20〜30枚を要している。1枚1分程度のスピードで、業界・事業分野・商品・商品の特徴・事例・人材・組織・会社概要・研修・採用方法などが、次々と説明されていく。これらがストーリーになっていればいいのだが、そうではないので、聞いているほうは脈絡のない情報を詰め込まれるだけになってしまう。
そもそも、パワーポイントは論理的に理解しづらい。1枚にまとまっていれば、情報の関係性は分かりやすいが、ページが異なるとそれがいっぺんに分かりにくくなる。ペラペラと流暢(りゅうちょう)なプレゼンをされても、ペラペラとページを行ったり来たりめくり直したくなるのは、そのせいだ。
また1枚あるいは、せいぜい2〜3枚にまとまっていると、何となく絵として記憶に残る。聞いたことはすぐに忘れるが、見たことは覚えているというのが人の記憶というものであり、その点でも、枚数が多くなってしまうパワーポイントによるプレゼンは得策でない。結果として、学生に会社の印象が残らないことになってしまう。
新卒採用において、会社説明会は学生へ第一印象を与える場として重要である。そして、強い好印象を与える最大の要因となるのは、採用担当者だ。採用担当者の表情、仕草、話しぶりなどの一挙手一投足に学生の関心が集まり、その後、選考に進むかどうか、入社動機が高まるかどうかも、それが大きく左右する。企業も、学生にとって魅力的だろうと思われる人を採用担当者に選んでいるはずだ。なのに、パワーポイントで作った資料をプロジェクターを使って説明する。部屋を暗くして、顔もはっきり見えない。学生の目線は当然、正面を向き、採用担当者には向けられない。なんともったいないことかと思う。
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