「人の役に立ちたい」という志望理由がダメな理由(2/3 ページ)
「人の役に立つ仕事がしたいのです」――。面接練習においてこう述べる人に、必ずその具体的説明をしてもらうようにするのですが、これまでそれを明確に説明できた人とは、学生だけでなく社会人ですらほとんど会ったことがありません。
「人の役に立たない仕事」とは
面接練習であれば、必ず聞くのはこの質問です。では「人の役に立たない仕事」とは何ですか? 今まで答えられた人に会ったことがありません。もちろん犯罪や反社会活動は答えになりません。あくまで合法的である、コンプライアンス上問題がない職業職務であり、なおかつ人の役に立たない仕事なんてあるのでしょうか。キャバクラや風俗産業、公営ギャンブルなど、すべて合法な職業であって、法律という一線を越えたものは職業ではありません。合法な経済活動は雇用を生み出し、従業員が生活することで需要と供給のサイクルを回します。もちろん納税によって、直接的な社会還元も行われます。
繰り返し述べますが、「人の役に立つこと」が悪いのでも、社会貢献を否定しているのでもありません。それだけを志望動機として並べ立てるのは、説得力がなく、何よりインテリジェンスを感じさせないから損なのです。日頃指導をしている、いわゆる高偏差値大学や理系大学院の学生が、ここに何の問題意識も持たずに言いっぱなしであることが問題なのです。
高偏差値大学生は「社会貢献と答えるのが『正解』らしい」という、正解導き能力の高さからこれらを語る率は高いのでしょう。しかし就活や採用に正解がないという、キャリアの根本を理解していないことがバレれば、どれだけ高名な学歴を誇っていても評価にならないのです。まして社会人経験のある人間が、転職において具体的な応募理由も説明できないのであれば、評価されることは難しいでしょう。
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