「人の役に立ちたい」という志望理由がダメな理由(3/3 ページ)
「人の役に立つ仕事がしたいのです」――。面接練習においてこう述べる人に、必ずその具体的説明をしてもらうようにするのですが、これまでそれを明確に説明できた人とは、学生だけでなく社会人ですらほとんど会ったことがありません。
お金について真剣に学ぶことがキャリア教育
私は大学生、大学院生向けの講義をたくさん行ってきましたが、最近は高校生や先日初めて中学生にまでキャリアのお話をしてきました。そこで語るものは「夢の実現」とか「いつか希望はかなう」といったファンシーなものではなく、お金の話です。
経済学を学んでいようといまいと、経済活動抜きに生活できる人はいません。完全に自給自足生活で、電気も水道も不要な原始生活を送らない限り。「やりたいことをする」のはキャリアではなく趣味です。やりたいことを継続して行うためには、それを維持するためのコストを稼ぎ出し、日々を生き、直接間接を問わず社会生活を送らなければなりません。要はご飯を食べて寝て暮らすことを、瞬間ではなく、継続できなければキャリアではないのです。親に養われていながら好きな暮らしをするのはキャリアではありません。
芸術家や芸能人も「自称」だとしたらキャリアではなく、趣味です。真剣にどうすればお金がまわるのか、その活動を継続できるのかを考え、例えば金融のようにインフラを通じて間接的に人を助けるというような、広い視野でビジネスをとらえられる志望動機こそ、現実感をもって受け止められるのです。
過去の面接練習で「御社最大の事業○○をきわめてお金を稼ぎたい。そして生まれ育った△△市に支店を出したい」と志望動機を語った女子大生がいました。しっかりしたその企業研究ができているからこそ言えることであり、説得力も十二分にあります。なにより、有名なお嬢様女子大の学生の口から「お金を稼ぎたい」という言葉が出て、関心を持たないわけがありません。筋の通った志望理由をしっかり語れる人は何より魅力があります。実際数週間後に、その超人気企業の内定を得たと報告があった時は、心底納得できました。
(増沢隆太)
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