クレームが発生する原因は? サービスの“すれ違い”:ご一緒に“おでん”いかがですか 2(2/5 ページ)
クレーム――受ける側も言う側も気分がいいものではないが、これはコンビニ業界に限った話ではない。今回は、クレームが発生する原因である、サービスの“すれ違い”について考えてみたい。
顧客ではなく“個客”満足度を高める
クレームを生まないために、重要視されるのが顧客満足度だ。下の図をみてほしい。
丸と丸が重なる部分が、顧客満足度を示している。「この重なる部分が最大になるように、サービスを提供しましょう」という具合に、人材教育や商品開発の場で活用されている。
この典型的な例として、多く見られるのが家電製品だ。「お客さまの声を反映しました!」といった店内のポップを見たことがある人も多いだろう。
これらは、ある一定の評価は得られるだろうが、残念なことに決して満足のいく商品ではなかったりする。そればかりか、あれこれと要望を聞き過ぎて機能を付けられるだけ付けてしまい、それがかえってあだとなってしまう製品も少なくない。
真の顧客満足を追求するのならば、顧客ではなく“個客”だと筆者は思う。逆に言えば、多くを対象とした満足度を追求する限り、満点は獲得できないということだ。しかし、満点を取れないからといってサービスを投げ出すわけにはいかないし、消費者側も0点を付けるわけでもない。
消費者は個々の基準でサービスを評価しており、一定のレベルをクリアすればある程度の満足感を得るだろう。それはこれからも変わりないことだと思う。
逆に「事前調査などしないで、欲しいと思うモノを勝手に作ってみました」という製品のほうが指示を得ることもある。最近の例では、先日発売されたバルミューダの「ザ・トースター」がまさにそうだ。価格は3万円弱と決して安くはないが、発売前から予約が殺到したという(関連記事:表面は香ばしく中はふんわり――これまでになかったトースターが登場)。
あれもこれもと搭載せずに1つの機能を極めたことが、消費者の心にササった良い例だと思う。
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