デジタルとアナログを高次元で融合! カシオの腕時計が目指すモノづくり(4/7 ページ)
カシオの腕時計が躍進している。売り上げが伸びているが、開発現場ではどのようなこだわりがあるのか。デジタルドライブやアナログムーブメントの企画を担当している小島直氏と、プログラムの仕様設計を担当している長谷川幸佑氏に話を聞いた。
カシオ腕時計のモノづくりを変革させた、“動く仕様書”
――小島さんと長谷川さんは、カシオの腕時計開発でどのように役割を担当しているのでしょうか。
小島氏: 長谷川は時計の針がどう動くかというプログラムの仕様策定を担当していて、私は具体的なムーブメントの企画を担当しています。長谷川は、以前はOCEANUSなどアナログ時計のプログラム開発を設計していたのですが、この時の経験を踏まえて、従来は言葉や文書でまとめていた時計の仕様策定の方法を工夫しています。デジタル表示は言葉でも表現できるのですが、針の繊細な動きはなかなか言葉で表現することができません。そこで、長谷川は針の動きが誰が見ても分かるように、仕様書そのもののつくり方を大きく変えました。
長谷川氏: 私の担当は、実際にプログラムを書くエンジニアに渡す仕様書を設計するのが仕事なのですが、「こんな感じの針の動き」と言葉で書いても、エンジニアにはなかなか伝わらない。加えて、実際にどのような製品に仕上がるのかを関係者がイメージしづらい。そこで、私は“動く仕様書”という実際の時計の動きをアニメーションで表現する仕様書を考案しました。この“動く仕様書”では、ボタンやリューズを操作したときに針がどのような挙動をするのかを実際の時計と同じように表現していて、「こういう動きだ」という仕様を動画で見せることができるようになっています。これにより、完成形をエンジニアや関係者が共有しながら製品開発を進められるようになりました。
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