持続可能な次世代都市の構築:スマートシティ最前線(1/4 ページ)
今後、新興国を中心に急速な都市化が想定されている。持続可能な都市の実現の鍵となるのは都市のインフラシステムであり、新興国でのスマートシティの建設の多くは、最新の技術を一括して活用することで大幅な後発者利益を享受できるであろう。本稿では最新のスマートシティの要素を基に議論を進める。
都市化は人口の動きの中で地域政府に影響を与える最も重要なものの1つである。世界の総人口の50%強が都市部に居住しているが、この割合は2050年には70%に増加する見通しである。そのため、予算面では厳しい制約があるものの、政府はより多くの人々に対しサービスを提供すると同時に、経済成長を促し環境を持続可能なものとするための取り組みを行っていかなければならない。
「スマートシティ」の創造は、これらの課題に対する政策立案者の取り組みを支援する。すなわちスマートシティは先進的なインフラとソリューションを利用し、都市化が持つ経済、社会、環境に関わる課題に対応するためのより良いサービスを提供するものである。
スマートシティには次の5つの要素が必要である。
(1)インフラ(都市の政府、住民、企業を結ぶ光ファイバー・ケーブルから成るバックボーン)
(2)コンバージェンス、あるいは複数の用途におけるデータを連携
させることのできる中央統合層
(3)サービス、あるいは医療、交通、教育、行政サービスをはじめとする都市政府のデジタル化により拡張された機能
(4)スマートフォン、タブレット、都市輸送エレメントをはじめとするデバイスを含むアクセスポイント
(5)エンドユーザ、あるいはこれらの拡張サービスを利用する政府関係機関、住民、訪問者、企業
スマートシティを創造するためには、都市の政府が情報通信技術(ICT)の活用について成熟していなければならない。これは古くから開発が進み既にインフラが密集している都市のような環境においては特に難しい。しかし、自らのICTを強化し、拡張したe-サービスを提供するために対策を講じる政府は、それがたとえ小規模で段階的なものであったとしても、大きな恩恵を手にすることになるだろう。
関連記事
- ビッグデータ解析にゴミ掃除――活発化する日本の宇宙ベンチャー
グローバルレベルで動きの早い宇宙ビジネス業界だが、このところ日本においてもさまざまなトピックスが生まれている。今回はその担い手である日本の宇宙ベンチャーの最新動向を紹介する。 - 進むクルマのIT化と、カー・ハッキングの危機を考える
ドライブするとき、スマホをつないだり、USBメモリを挿して音楽を聴くという人が多いはず。しかしクルマのIT化が進む現代、もしそこからウイルスが侵入してクルマが乗っ取られたとしたらどうなるだろうか。 - モノがインターネットでつながる――「IoT」市場が急成長しているのはなぜ?
20年後には世界中にある約1兆個の機器がインターネットに繋がって、人間とモノ、モノとモノが相互にコミュニケーションをとる時代が来ると言われている。これによって、我々の生活やビジネスはどのように変わっていくのだろうか。 - 「IoT」時代に企業が準備すべきことは何か
あらゆるモノがインターネットにつながる「IoT(Internet of Things)」時代が到来しようとしている。この動きをビジネスに取り込むために、企業が準備すべきことは何か。
© PwC. All rights reserved. PwC refers to the PwC network and/or one or more of its member firms, each of which is a separate legal entity. Please see www.pwc.com/structure for further details. Disclaimer: This content is for general information purposes only, and should not be used as a substitute for consultation with professional advisors.