コラム
3Dプリンターが医療を変える、PEST分析から読む近未来(3/3 ページ)
IDC Japanによると、国内の3Dプリンター市場は2021年に1000億円を突破すると予想している。中でも期待されるのが、医療分野での利用。既に産業化されているのが、歯科用矯正機器の製造である。
コイルは既製品である。そのため患者ごとに異なるコブの形に合うよう、現状ではいくつかのコイルを組み合わせて使われている。理想のカテーテル術はいうまでもなく、患者のコブの形にぴったり合うようカスタムメイドされたコイルを入れること。そこで3Dプリンターの出番となる。
患者のコブの形に関するデータは、既にある。つまり動脈瘤が見つかる過程では、必ず脳がスキャンされているはずで、そのデータを3Dプリンターに流用することができる。コブを正確に再現したモデルをつくり、それに合わせてプラチナのコインをつくればよい。これにより高価なプラチナをムダにすることもなくなる。
まだ工学部での研究段階の話だが、今後、さらに研究が進み、治験をクリアして実用化に至れば、多くの人に福音をもたらすはずだ。
ほかには人の細胞でできたバイオインクをプリントする3Dバイオプリンターもある。細胞修復、新医療技術の研究開発、医薬品の臨床実験から臓器製造などへの応用など、3Dプリンターは医療の可能性を大きく広げる強力なツールとなるはずだ。(竹林篤実)
関連記事
- 3Dプリンターで、飛行機づくりはどう変わる?――エアバスの場合
3Dプリンター技術が、旅客機づくりに生かされはじめている。最新鋭機「A350XWB」や、総2階建て機「A380」の製造・組み立てが進むエアバスのハンブルク工場で、開発チームリーダーのピーター・サンダー氏に話を聞いた。 - 民間企業「アクセルスペース」の人工衛星が、ものすごく安い理由
2013年11月。大学発のベンチャー企業「アクセルスペース」が、民間企業としては世界初となる商用の小型衛星を打ち上げた。大型の人工衛星に比べて、価格はかなり「安い」というが、なぜそんなモノをつくることができたのか。同社の中村友哉CEOに話を聞いた。 - 東京モーターショーで見ても無駄なクルマは?
今週末から「東京モーターショー」が開催。参加者の皆さんにぜひ見てもらいたいもの、見ても無駄なものをお伝えしたい。 - マツダがロータリーにこだわり続ける理由 その歴史をひもとく
先日、マツダの三次テストコースが開業50周年を迎え、マツダファンたちによる感謝祭が現地で行われた。彼らを魅了するマツダ車の最大の特徴と言えば「ロータリーエンジン」だが、そこに秘められたエピソードは深い。
関連リンク
Copyright (c) INSIGHT NOW! All Rights Reserved.