コラム
3Dプリンターが医療を変える、PEST分析から読む近未来(2/3 ページ)
IDC Japanによると、国内の3Dプリンター市場は2021年に1000億円を突破すると予想している。中でも期待されるのが、医療分野での利用。既に産業化されているのが、歯科用矯正機器の製造である。
3Dプリンターと医療
製品プロトタイプ製作、設計における模型づくり、食品加工(食材を3Dプリンターの素材に使う)、アクセサリーから自動車のボディづくりなど、既に多くの分野で3Dプリンターは活用されている。
中でも期待されるのが、医療分野での利用だ。既に産業化されているのが、歯科用矯正機器の製造である。
歯科矯正には、矯正器具を使う。これが従来は既成品しかなかった。そこで3Dプリンターの出番となる。患者1人1人の歯型に合わせて完全にカスタマイズされた矯正具は、装着感が抜群に良い。しかも矯正プロセスの進み具合に応じて、随時、最適な形のものに入れ替えることができる。その結果、治療効果も高まる。
こうしたメリットが高く評価され、矯正治療に採用する歯科医が増えている。
カテーテルのコイルをカスタマイズする
ある大学では、脳内の血管にコブができる脳動脈瘤の治療における3Dプリンター活用の研究が進められている。
脳動脈瘤の治療法としては、コブの破裂を防ぐために、細くてやわらかなプラチナ製のコイルをコブの中に詰める方法がある。コイルはカテーテルと呼ばれる細いチューブを太ももの血管から入れて、患部まで送り込む。
この術式だと開頭手術なしで治療できるため、患者の負担が大きく軽減される。ただし一つだけ問題があった。コブに詰めるコイルの型状を調整するの難しいのだ。
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