「高橋新監督」誕生の裏に、巨人の事情:赤坂8丁目発 スポーツ246(2/3 ページ)
巨人・高橋由伸監督が誕生した。目まぐるしいスピードで実現した“Gの政権交代”だったが、なぜ球団は高橋に「監督」を打診したのか。その理由は……。
高橋の存在が本社上層部の間でクローズアップ
ネット上では今回の高橋監督誕生に対して「応援したい」という声は確かに多いが、「由伸が監督候補であることに異論はないが、実際に就任するのはタイミングとして早過ぎる」「まだまだ現役選手として頑張ってもらわなければいけないのに、おかしい」などといった異論が熱烈なG党から噴出している。残念ながら祝福ムードに包まれているとは決して言えない。
それではなぜ、巨人は高橋に監督を引き受けてもらわなければいけなかったのか。今季限りで原監督の契約が切れることで球団側は来季続投の線もわずかながら視野に入れつつ、シーズン中から新たな後任探しに本格着手していた。球団の大本命はヤンキースなどでも活躍した球団OBの人気者・松井秀喜氏だったが、今年夏に球団幹部が渡米して本人に来季からの監督就任の意思があるかどうかを尋ねたもののアッサリと難色を示されてしまったという。
そこで球団幹部の中で後任指揮官として名前に上がってきたのが、やはり球団大物OBの江川卓氏や川相昌弘内野守備走塁コーチ、そして高橋外野手兼打撃コーチだった。ところが決定権を持つ巨人の親会社・読売新聞社の最高経営会議メンバーの上層部クラス3人が江川氏の古巣監督就任プランには当初から乗り気ではなく、対照的に川相コーチは来季指揮官の候補には残っていたものの何らかの事情で「不適格」とされ、結局は三軍監督への配置転換が決まったと聞く。これで川相コーチの内部昇格案が消滅し、残る高橋の存在が本社上層部の間でクローズアップされ「彼しかいない」となり、白羽の矢が立てられた――という流れだった模様だ。
現役の所属選手3人が絡んだ野球賭博問題が広がりを見せて世間から大バッシングを受けていることも、球団側を大きく焦らせているようだ。この野球賭博事件は福田聡志投手だけが“火元”と見られていたが、21日に日本野球機構(NPB)の調査委員会が発表した中間報告で新たに笠原将生と松本竜也の巨人2投手も関与していたことが発覚。そのわずか2日後の23日に高橋の監督受諾が発表され、5日後の26日に監督就任会見も行われた。世間に与えてしまった悪い印象をどうにかして払拭(ふっしょく)させようと高橋監督誕生というグッドニュースで慌てて“消化作業”を行おうとしたフシはやはり見え隠れしてしまう。
しかしながら「巨人はチームであり、人気球団であり、そして1つの企業。ただ成績のことを考えるだけでなくイメージも大事であってファンもしっかりと付いてきてくれる指揮官でなければならない。それを踏まえた上で監督選びも行われる」という球団関係者の説明通り、就任背景から考えて“押し付けられ感”はあるにしても高橋監督の誕生は諸々の事情を加味すれば必然の流れだったと言えるかもしれない。
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