自ら上場させた会社を辞め、2度目の起業を決意するまで:新連載・経沢香保子の「ベンチャー魂は消えない」(3/7 ページ)
26歳で初めて創業した会社のビジネスが軌道に乗り、30歳で結婚し、3人の子どもの出産、そして上場。公私ともに順風満帆だった私を、ある日突然、悲劇が襲いました。「何とかするしかない!」。そう心に誓って、困難に立ち向かっていったわけですが……。
人生設計が白紙に……
しかし、人生はそんなに甘くはなかった。会社が軌道に乗った4年目のころだったろうか、30歳になってすぐに結婚し、そのまま自然な流れで妊娠した幸せ絶頂の私に、医師がこう告げた。
「おなかの赤ちゃんは、難病を患っています。正常に産まれてきません。産まれるかどうかも分かりません。もし、産まれてきたとしても寿命は数日かもしれません。生き延びたとしても、24時間介護が必要となるでしょう」
まさに頭の中が真っ白になった。
言われた言葉が理解できない。意味がまったくわからない。自分の身に何が起きたか分からない。
診察後に、所定の手続きを機械的にすませると、そのまま受付の椅子に座って、すぐさま病気についてインターネットで調べはじめた。調べれば調べるほど、体の震えがとまらなかった。
状況を受け止められなかった。でも、時は過ぎていく。
少しだけ落ち着きを取り戻した私は、仕事や育児について計画を立て直さなければいけなかった。
会社はどうしたらいいのか? 育児はどうすればいいのか?
出産後は、当然のように保育園に預けてすぐ働くつもりだった。だが、介護が必要な赤ちゃんは誰も預かってくれない。人生設計が、会社の未来が、全くの白紙になったような気がした。
「社長として、どうやって責任を果たせばいいのか……」
「母親として、どうやって育児の責任を果たせばいいのか……」
「もし、子どもが産まれてきてくれたとしても、24時間の介護と仕事をどう両立すればいいのか……」
悶々と考え続ける日々が続いた。
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