自ら上場させた会社を辞め、2度目の起業を決意するまで:新連載・経沢香保子の「ベンチャー魂は消えない」(5/7 ページ)
26歳で初めて創業した会社のビジネスが軌道に乗り、30歳で結婚し、3人の子どもの出産、そして上場。公私ともに順風満帆だった私を、ある日突然、悲劇が襲いました。「何とかするしかない!」。そう心に誓って、困難に立ち向かっていったわけですが……。
会社のブランド力を高める
一方で、会社はどうしよう。
当時、社員が7人ほどだったから、私を中心に回っていた。
そもそも、当時、会社の知名度が、経沢香保子の知名度に勝てないことは、経営者としてずっとコンプレックスに感じていた。
「このままではダメだ。個人ではなく、会社のブランドで勝負しなくては」
上場を目指すというのはどうだろう? 会社を組織化し、一流の会社になれば、それによって良い人材が集まるサイクルができ、会社として永続的に成長できるのではないか?
前々から、会社を一段上げないといけないと焦りを感じていた私は、今こそ、会社を上場させて、状況を一気に打開しようという無謀な目標を立てた。
資金調達し、本格的に上場を目指したのが、2007年。
それからの日々は、紆余曲折の連続だった。社員が大量に辞めていったこともあった。夜は眠れない日の方が多かった。個人保証付きの出資2億円を個人で補てんしたこともあった。それでもとにかく、決めたことだからと、暗闇の中を手探りでも、一歩一歩前に進んでいくしかなかった。
そうしていくうちに、さまざまな奇跡的な幸運が重なり、2012年10月、夢にまで見た東証マザーズに上場。東京証券取引所で大きく鐘を鳴らした。
「多くの著名な先輩経営者が立ったこのステージに、やっと立つことができた。これからが新しいスタートなのだ!」。そのときの私は、ようやく上場企業としての一歩を踏み出せることの喜びでいっぱいだった。
関連記事
- 誰が、次のイーロン・マスクになれるのか
世の中には、先天的にきわめて高い能力を持っている天才児がいる。そんな子どもが、物理学と経営学を学び、1週間100時間のハードワークをこなし、「人類を救う」強い意志を持っていたら、どうなるか。イーロン・マスクになる。 - あなたの会社は? トヨタが踏み切る「配偶者手当の廃止・子ども手当4倍」
トヨタ自動車が配偶者手当を廃止し、子ども手当を4倍に引き上げることで労組と大筋合意したという。 - エグゼクティブコンサルタント、森本千賀子さんに聞く――「愛される経営者像」とは?
転職エージェントとしてリクルートグループの営業MVPを15回受賞、常にトップを走り続けるスーパーウーマン、森本千賀子さん。多くの経営者から「よき相談役」として公私ともに頼りにされている彼女に、愛されるトップ像や良い組織の姿を聞いた。 - 子育て夫婦の生活満足度と食事の関係
夫婦間での家事の割合分担はどのようになっていますか? 3歳から18歳までの子どもと同居している夫婦に聞いたところ……。東京エレクトロン デバイス調べ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.