2019年、東海道新幹線に大変革が訪れる:杉山淳一の「週刊鉄道経済」(2/5 ページ)
JR東海は10月22日、東海道新幹線のN700A追加投入と700系の2019年引退を発表した。東海道新幹線の電車が最高時速285キロメートルのN700Aに統一されると、東海道新幹線に劇的な変化が起きる。それは「のぞみ」所要時間の短縮だけにはとどまらない。
東海道新幹線の車両の歴史
東海道新幹線はご存じの通り、0系電車で営業運転を開始した。その後、100系、300系、500系、700系、N700系、N700Aが導入されている。なぜ百の位が奇数になっているかというと、200系は東北新幹線用、400系は山形新幹線直通用に割り当てられたからだ。国鉄時代は、東海道新幹線方面を奇数、東北新幹線方面を偶数とした。600系を割り当てられる電車はJR東日本の新ルールによってE1系となったため欠番。800系は九州新幹線用になった。
東海道新幹線の各形式が登場してから引退するまで、どのくらいの活躍期間があるだろうか。最も長い期間で活躍した電車は初代0系だった。1964年の開業から1999年の引退まで、35年間も君臨した。東海道新幹線の電車の寿命は当初15年〜20年、現在は13年だ。0系時代の35年間、寿命を迎えた0系は、新造された同じ形式の0系と交代していた。これが1985年の100系登場まで続いた。
2代目の100系は1985年に登場し、2003年までの17年間活躍した。ヘッドライトが細目になり、二階建て車両を連結していた。0系に比べると短いけれど、7年後に300系が導入され、まずは0系、続いて100系を置き換えた。100系は寿命を迎えた車両から、順当に新型と交代していった。
300系はのぞみの新設のために投入された(関連記事)。最高時速270キロメートル時代の始まりだ。300系は1992年から2012年までの20年間活躍。300系だけは東海道新幹線、山陽新幹線の同時引退となり、山陽新幹線の“余生”が無かった。山陽新幹線では関西〜福岡の航空便に対抗するため、2000年から山陽新幹線向けの700系「ひかりレールスター」を導入しており、2010年からは500系が山陽本線内専用となった。300系中古車の入る余地が無かった。
500系は東海道本線で最も活躍期間が短かった。最高時速300キロメートルを達成した車両だったけれど、その速度は山陽新幹線区間のみ。東海道新幹線区間では時速270キロメートルに抑えられた。鋭角的な細身のデザインで人気があったけれど、それ故に座席配置が300系や後任の700系と異なっていた。
500系はのぞみ専用で、東京駅で折り返して「ひかり」「こだま」にしづらく、ダイヤが乱れたときの車両の変更もできなかった。これが13年間で東海道新幹線を追い出された理由と言われている。もっとも、この形式のみJR西日本だけが保有している。もともと山陽新幹線を時速300キロメートルで走るために、JR西日本が独自に開発した車両だった。
700系は、簡単に言うと「500系の走行システム」に300系の座席配置を採用した車両だ。ただし最高時速は285キロメートルにとどまった。その最高速度も山陽新幹線限定で、東海道新幹線では270キロメートルまで。500系の誕生からわずか2年後の1999年に登場し、2019年に引退予定。山陽新幹線で残留するかもしれないけれど、東海道新幹線の活躍期間は20年となる。最後の車両は2006年製だから、13年後の引退は予定通りだ。
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