なぜ「ココイチ」の味は“普通”なのに、トップを独走しているのか:水曜インタビュー劇場(カレー公演)(4/7 ページ)
「カレーハウスCoCo壱番屋」(ココイチ)を運営している壱番屋の業績が好調である。市場をみると、ココイチの店舗数は1000店を超えているのに、2位のゴーゴーカレーは80店ほど。なぜココイチはここまで「独走」しているのか。同社の取締役に聞いたところ……。
メニューにも「お客さま目線」
宮崎: それはダメ。本部の人間が店を巡回していまして、アンケート用紙が目立たないところに置いていれば、指導されるんですよ。やましいことをしていなければ、目立つところに置けますよね。テーブルの上、レジの近くに。
土肥: き、厳しい(汗)。
宮崎: 外食産業は“クレーム産業”でもありますから。
土肥: 日本マクドナルドは異物混入などで、大変な事態に陥りました。他人ごとではない?
宮崎: もちろんです。クレームをゼロにすることはできません。ただ、それに目をそむけてはいけません。例えば、ココイチの制服は半そでなのですが、脇毛が落ちないように、内側にネットを貼っているんですよ。これは特注。
土肥: ほー。
宮崎: ココイチには40種類ほどのメニューがありますが、ここにも「お客さま目線」が含まれています。メニューだけでなく、トッピング、ルーの甘さ・辛さ、ライスの量もすべて「お客さま目線」から生まれました。その結果、“マイカレー”を楽しまれるお客さんが増えてきました。例えば、ハンバーグにチーズをのせて、卵をのせて、辛さは4カラで……といった感じ。
土肥: どのくらいの人がマイカレーを注文されるのですか?
宮崎: 約4割ですね。
土肥: 創業者はココイチを創業する前に、有名なカレー店を食べて回られたんですよね。で、毎日食べても飽きないような味を目指すことにした。なぜマイカレーを好むお客が増えているかというと、毎日食べても飽きないような味にしたからではないでしょうか。もし、ものすごくおいしいカレーであれば、トッピングはしない。それだけで満足するから。そう考えると、毎日食べて飽きないカレーの味は、マイカレーを好むお客を増やすのにピッタリだったのではないでしょうか。
宮崎: そうかもしれません。
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