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決戦兵器「エヴァンゲリオン」は山陽新幹線を救えるか杉山淳一の「週刊鉄道経済」(3/5 ページ)

11月7日、山陽新幹線に独特な仕様の電車が現れた。かつて東京駅にも発着していた500系電車が、アニメ作品「新世紀エヴァンゲリオン」の主要メカをモチーフに塗装された。このコラボレーションは山陽新幹線にとって大きな意味がある。

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山陽新幹線を強化したいJR西日本

 山陽新幹線は交通機関として誰もが知っているし、500系新幹線車両は鉄道ファンに根強い人気を持つ車両だ。しかしながら、コラボレーションの相手が新世紀エヴァンゲリオンとなると、鉄道ファンにとってもアニメファンにとっても疑問符が付く。「500系新幹線がロボットに似てるかもね」以外の共通点はないからだ。

 このコラボレーションは、JR西日本からアニメ制作会社に働きかけて実現した。JR西日本は山陽新幹線を盛り上げたい事情がある。山陽新幹線がさらされてきた「対航空機との競争」だ。その象徴が500 TYPE EVAに起用された「500系電車」だった。

 今はどうか分からないけれど、私が何度か福岡空港を利用したときはいつも、空港地下の市営地下鉄の駅に新幹線の広告があった。名古屋までの運賃の安さ、運行本数の多さをアピールする内容だ。東京と大阪を結ぶ東海道新幹線に比べると、大阪と北九州を結ぶ山陽新幹線の利用客はずっと少ない。しかも、山陽新幹線の各駅と東京の間は、すべて航空機と競合している。

 現在もよく言われる「新幹線の所要時間の4時間が航空機と新幹線のシェアの境目」は、東京〜広島間を指している。広島空港は臨海地域から都市部と離れた山間部に移転して、新幹線にやや有利となったと言われている。現在の広島空港はJR西日本の山陽本線の白市駅に近く、広島県はJR西日本に対し空港連絡鉄道の建設を打診したものの、JR西日本は拒んだと言われている。新幹線と競合する航空便に塩を送る余裕はない。

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