手詰まり感のJR北海道、国営に戻す議論も必要ではないか?:杉山淳一の「週刊鉄道経済」(1/5 ページ)
北海道新幹線開業を控え、JR北海道は背水の陣で経営の立て直しに取り組んでいる。しかし同社の報道発表も地元紙のスクープも悲しい情報ばかり。現場の士気の低下が心配だ。皆が前向きに進むために、斬新な考え方が必要ではないか。
杉山淳一(すぎやま・じゅんいち)
1967年東京都生まれ。信州大学経済学部卒。1989年アスキー入社、パソコン雑誌・ゲーム雑誌の広告営業を担当。1996年にフリーライターとなる。PCゲーム、PCのカタログ、フリーソフトウェア、鉄道趣味、ファストフード分野で活動中。信州大学大学院工学系研究科博士前期課程修了。著書として『知れば知るほど面白い鉄道雑学157』『A列車で行こう9 公式ガイドブック』、『ぼくは乗り鉄、おでかけ日和。 日本全国列車旅、達人のとっておき33選』など。公式サイト「OFFICE THREE TREES」ブログ:「すぎやまの日々」「汽車旅のしおり」、Twitterアカウント:@Skywave_JP。
埼玉県民から期待されている北海道新幹線
もうすぐ北海道新幹線が開業する。TVCMも始まった。報道によると、JR北海道は2016年2月までに道内区間で試乗会を開催する意向を示している。16日には北海道、青森、秋田、岩手県の各知事が函館市で会議を開き、観光やビジネスなどで交流を促進しようと盛り上がったそうだ。
11月10日、北海道商工会議所連合会は10月末に大宮駅で実施したアンケートの結果をWebサイトで公表した。なぜ大宮かというと、北海道新幹線の開業に向けた食・観光プロモーションイベントが実施されたからだ。回答者はイベント来場者で、もともと北海道に関心を持つ人々である。また、回答者の9割が埼玉県居住者、8割が北海道旅行経験者で、そのうち8割は「北海道を再訪したい」と回答した。
アンケートの結果、北海道を往復する手段として、往復とも新幹線と回答した人が45.9パーセント。往路新幹線、帰路航空機が28.1パーセント、往路航空機、帰路新幹線が12.8パーセント。これらを合計すると、北海道旅行を考える人の約9割が北海道新幹線に乗りたい」と考察している。
ほう、そうか。北海道新幹線は盛り上がっているな、と思ったら大間違いだ。アンケート会場の大宮は羽田空港へのアクセスが不便なところである。新幹線が良いに決まっている。往復とも飛行機という回答者は9.6パーセントもいた。しかし羽田経由は少ないだろう。成田エクスプレスを利用して、成田発着のLCC(格安航空会社)を使うルートを知っていると思われる。
同じアンケートを新宿、横浜、千葉でやったら、どうなったか。羽田空港で実施したらどうか。そんな野暮なことはできないだろう。北海道商工会議所連合会は、北海道新幹線を盛り上げたい。だから前向きなネタを探している。良い結果になりそうな場所でアンケートを採りたかった。その気持ちはよく分かる。
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