市長が語る、「アジアのリーダー都市」を目指す福岡市の現在地:新連載・アジアの玄関口・福岡のキーパーソン(2/4 ページ)
古くから日本の玄関口として海外との交流が盛んだった福岡。そして今、ビジネスや文化などの面から「アジアのゲートウェイ」としての存在感が高まっているのだ。本連載では「福岡×アジア」をテーマに、それにかかわるキーパーソンの声を聞いていく。第1回は高島宗一郎 福岡市長だ。
高まる福岡市のプレゼンス
――海外から福岡市はどのように見られているのでしょうか。
高島: 昨年5月、安倍総理の外遊に同行して、ロンドンで福岡市のプレゼンテーションをさせていただきました。終わった後、いろいろな人が話をしに来てくれて、「アジア市場への展開を考えているが、拠点は福岡がいいと思っている」と言ってくれる方がとても多かったんですね。シンガポールや台北などたくさんの都市がある中で、日本、そして福岡に注目をしていただいていることを実感することができました。
近年、世界的な会議やイベントへの参加要請が増えてきていて、東京で行われた「SLUSH ASIA」(フィンランド発祥の世界的スタートアップイベントのアジア版。高島市長はプレゼンに登壇)や、サマーダボス会議(世界経済フォーラムの主催の会議で世界から政財界のリーダーが一堂に会する)、サンフランシスコで行われた「City Innovate Summit」など、今年だけでも10件以上、依頼をいただきました。これも福岡市のプレゼンスが格段に向上してきていることを物語っていると思います。
――逆にビジネスをする上での福岡市の課題は何でしょうか。
高島: それは、就任以来進めてきた成長戦略によって、大きな需要が生まれ、福岡市の都市としての供給力が足りなくなってきたということです。福岡の都心部には、グローバルスタンダードとも言えるセキュリティやIT対応できるスマートビルが圧倒的に少ないですし、コンベンション施設もホテルも、空港や港湾の機能も足りていません。例えば、国際会議は施設の稼働率が高すぎて毎年数十件単位で開催をお断りしていて、年間百数十億円レベルの経済損失が生まれているんです。これは、いわば福岡市の成長に“キャップ”がされている状態です。
ですから、国家戦略特区による規制緩和と、福岡市独自の規制緩和や施策を活用し、今後10年間で30棟のビルの建替えを一斉に誘導していく「天神ビッグバン」や、コンベンション施設や港湾機能が集積する中央ふ頭、博多ふ頭一帯のウォーターフロント地区における再整備「ウォーターフロントネクスト」などを進め、成長を妨げているキャップを規制緩和によって外し、福岡の供給力をしっかりと上げていくことで、より大きな成長を可能にしていきます。
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