市長が語る、「アジアのリーダー都市」を目指す福岡市の現在地:新連載・アジアの玄関口・福岡のキーパーソン(4/4 ページ)
古くから日本の玄関口として海外との交流が盛んだった福岡。そして今、ビジネスや文化などの面から「アジアのゲートウェイ」としての存在感が高まっているのだ。本連載では「福岡×アジア」をテーマに、それにかかわるキーパーソンの声を聞いていく。第1回は高島宗一郎 福岡市長だ。
――今後、アジア、世界に対して福岡市をどのように発信していくのでしょうか。
高島: 福岡市の産業構造は、サービス業などの第3次産業が9割を占めるという特徴があります。そこで、福岡市の成長戦略として、短期的には交流人口を増やしていく、そのためにMICEや観光の振興に力を入れています。その結果、国際会議の開催件数は6年連続で東京都に次ぐ全国2位ですし、福岡空港、博多港から入国する外国人の数は3年連続で過去最高を更新しました。
ただ、海外からの観光客数は、国と国との関係が悪化した場合、大きな影響を受けます。そこで、特定の国や地域に過度に依存しないよう、いろいろな国から誘客を促進するために現地でのプロモーションに力を入れていて、先日はタイのバンコク、インドネシアのジャカルタに行ってきました。ジャカルタでは、福岡が誇る食などの魅力はもちろん、ムスリム向けのレストランをまとめたガイドブック、福岡空港にある礼拝室など、受け入れ体制もしっかりと整っていることをアピールしてきました。
ビジネス面においても、資金が同じ場合、ビジネスコストが格段に安い福岡であれば東京に比べて何度もトライ&エラーを繰り返すことができます。自分たちのサービス、製品が日本にフィットするのかどうかを数多く試すことができる、つまり、成功する可能性が高まるわけです。日本というマーケットをターゲットとしたテストマーケティングに最適な都市であることを、これからも海外に向けて発信していきたいと思います。
今後は、福岡市が旗手となって世界のスタートアップと連携していく仕組みの構築も視野に入れているという高島市長。アジアの中でますます高まるであろう福岡市に注目したい。次回からは、福岡とアジアの関係においてキーマンとなる人や企業に取材していく。
(聞き手:小松里紗、文・構成:市來孝人)
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