インタビュー
トラブル発生! 航空整備士は何を考え、どう対応しているのか:水曜インタビュー劇場(整備士公演)(5/6 ページ)
飛行機にはさまざまなトラブルが発生するが、航空会社の整備士はどのように対応しているのか。JALで整備士として活躍されている小久保吉純さんに話を聞いた。
整備士全員の性格を把握
土肥: 少し話が戻りますが、修理の時間に「30分かかりそう」というのは、現場の担当者から聞くわけですよね。その意見を聞いて、お客さんに「30分遅れます」と伝えるのですか?
小久保: はい。状況を聞いて「いや、その修理であれば、40分はかかる」といったことを言う場合もあります。ただ、現場にいる人間がその状況を一番知っているので、基本的に時間を減らすことはしません。
土肥: あと、性格も影響しませんか。例えば、通勤に1時間ほどかかるのに、ある人は「40分で行けるよ」と言うし、ある人は「1時間30分はかかるなあ」と言う。サバを読むとかどうとかではなくて、時間を短く言う、逆に長く言う人がいますよね。その場合はどうするのですか?
小久保: 羽田空港の現場には、300人ほどの整備士がいますが、全員の性格を把握しているつもりです。
土肥: この人は“時間を短く言うタイプ”といった感じで?
小久保: はい。「この修理にそんなに時間がかかるの?」「そんなに短い時間でできるの?」と感じた場合には、現場にベテランを送り込みます。その結果、短くなることもありますし、長くなることもあります。また、仕事の内容によっても短く言ったり、長く言ったりするケースがあるので、できるだけその仕事内容に適している人を配置するようにしています。人間には得手不得手があるので。
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