なぜマラソンビジネスが巨大化しているのか:来週話題になるハナシ(3/4 ページ)
いま、米国ではマラソンがとんでもない盛り上がりを見せている。国際的に有名なニューヨークシティマラソンなどのほかに、国内で約1200もの大会が開催されている。マラソン大会が増え続けている背景を調べてみると……。
マラソンが注目されている理由
マラソンがこれまで以上に注目されているのには、他にも理由がある。チャリティー活動のためにマラソンに参加することがトレンドとなっていることだ。ニューヨークシティマラソンはそれをうまく活用している。
参加希望者が多く抽選でもかなり競争率が高い同大会では、承認された特定のチャリティー団体のためにランナーが募金活動を行い、一定の寄付金(2500ドル〜3000ドル以上)を集めることができれば参加が保証される。2014年は、8500人ものランナーがチャリティー枠で参加し、3450万ドル(42億円)もの寄付金を集めたという。
興味深いのはマラソン主催者へのそうした金の流れだ。ニューヨークシティマラソンの参加費用は高額(255ドル。海外からの参加者は347ドル。抽選のためのエントリー費は別途11ドル必要)で有名だが、チャリティー枠の場合はチャリティー団体が参加費とは別に、450ドルから995ドルを上乗せして支払わなければならない。
ニューヨークシティマラソンほど大きいイベントを開催するのは、かなりの費用がかかる。大会の開催費用は約3500万ドル以上(43億円)で、さらに警備に約400万ドル(5億円)が必要だという。ただニューヨークシティマラソンを主催する、ニューヨーク・ロードランナー協会が非営利団体でありながら、マラソンイベントで収益を確実に上げることができるのは、チャリティー枠のような巧みな仕組みがあるからだ。
さらに、スポンサー企業の獲得はマラソンビジネスにおいて非常に重要だ。ニューヨークシティマラソンの規模が拡大したのは、ビックスポンサーの獲得に成功したことが大きい。
スポンサー企業にとっても、マラソン大会に協賛するのはメリットが大きい。というのも、イベントをサポートするスポンサーに対して、ランナーが好意的だからだ。企業側からすれば、そのような歓迎ムードの場で、商品やサービスをプロモーションできる機会は滅多にない。
また、ニューヨークシティマラソンのような大規模なイベントとなれば、より多くのターゲットに接触でき広告の費用対効果も期待できるため、さらにスポンサー企業を引きつけている。
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