「人の思いで、人は動く」 出世した人の考え方:銀座で学んだこと(4/4 ページ)
年の瀬が近いこの時期は、多くの人が自分のことで精一杯。しかし、大成された方というのは、こういうときこそ慎重に仕事をされてきたようです。
人の思いで、人は動く
「自分のために働いているだけでは、力はでない。両親のためにまず働く。そして、結婚したら子どもたちを含め、家族みんなのために働く。次は、会社を家族と思って、兄弟力を合わせて働く。そうしたら、自分の地位も会社も自ずと昇進した」と話すのは食肉業者社長のDさん(50代)。このように書くと順風満帆のように感じられるかもしれませんが、現在の地位に至るまで一度関連会社を倒産させた経験があるのです。
Dさんにその理由を聞くと、倒産直後は「部下が無能だったから私は被害者だ」くらいの愚かな考えを持っていたそうです。
「創業者は偉いと信じていた。社員は即戦力で使えるかそうでないかだけを考えていて、育てようなんて全く思わなかった。自分さえいれば代わりの者はいくらでもいると本気で思い込んでいた」と苦笑い。しかし、視点を変えると違うモノが見えてきたそうです。
「私が勤め人になった初めての日に、親父に言われた言葉がある。『鼻紙やボールペンは、人にあげるために3つ持て。ばんそうこうまで持てとは言わないが、困った人に渡せるものを最低2品はカバンに入れておけ』と。それを、幼稚園児が朝の迎えのバスを待っているときに、母親がハンカチを渡すのを見て思い出したんだ。会社は、人の思いで成長する。人の思いで、人は動く。人と人との仕事である限り、常に相手の立場で物事を考えていかなければならない」
出世を目指すビジネスパーソンにとって、参考になる話ではないでしょうか。
桃谷優希氏のプロフィール:
1988年10月16日大阪府生まれ。16歳のときに処女作『デリンタ(悪魔の子)と呼ばれた天使たち』(文芸社)でデビュー。このほか『国民の声』(文藝書房)に寄稿、『罪追人』(文藝書房)、今春『赦れる天秤』を刊行予定。
京都ノートルダム女子大学卒業後、北新地のクラブへ。クラブ「城」閉店後、銀座に移籍。銀座40周年の老舗「クラブセントポーリア」でナンバーワンの座を手にして、その後26歳の誕生日に某有名店のママに就任。
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