「年俸固定、複数年」は是か非か プロ野球選手の契約事情:赤坂8丁目発 スポーツ246(3/4 ページ)
プロ野球選手の契約更改交渉が連日のように行われている。たいして活躍していないのにもかかわず、下がっていない「推定年俸」を見て、「もらい過ぎだろう」と思ったことがある人も多いのでは。下がっていない理由に、契約内容があるようで……。
年俸固定型の複数年契約
とはいえ、内海、そして村田の2人は見方を変えて少々嫌味っぽい言い方をすれば、立派な勝ち組と言えるのかもしれない。プロ選手としては決して誉められるような成績ではないにせよ、これだけの年俸をロクに働かずとも得られる契約をすでに球団側と結んでいたのだから結果的には賢い選択をしていたということになるからだ。
そういう意味でも、この村田と内海のケースを見ると年俸固定型の複数年契約というシステムには雇用側の球団にとって大きなリスクを生む危険性があることを再認識させられる。有能な選手の囲い込みを行う上ではメリットがあるが、どうなるか分からない後年のことまで契約に含めなければならない点は見極めや判断が非常に難しく、ある程度のデメリットにつながることも覚悟しなければいけない。今季の村田や内海がそうであったように選手が契約内容に見合うような活躍ができなかった場合、当然のように球団にとっては大きな損失が発生してしまうからだ。
だから球団側は将来的にできる限り損をしないように、そして逆に言えば選手のほうも自分を安売りして買い叩かれないようにし、それぞれお互いが知恵を振り絞りながら交渉を重ねて着地点を見つける作業が複数年契約の交渉の際には必要となる。
しかし、どんなに煮詰めて話し合いをしても年俸固定型の複数年契約は球団よりも選手のほうが「得」につながる要素が大きい。契約期間中はいくらがんばっても条件が上がることはなく、逆に成績が悪くても年俸は保証されているのだから、極端に言うと選手のほうはやろうと思えば手を抜くことも可能である。もちろん村田や内海がそうだとは言わないが、周囲から「契約最終年だけがんばるつもりなのか」と嫌味を口にされても仕方がないだろう。
参考までに数字を挙げると、複数年契約を結んで以降の両者の成績は次の通りだ。
内海
2013年:25試合登板 13勝6敗 防御率3.31
2014年:22試合登板 7勝9敗 防御率3.17
2015年:5試合登板 2勝1敗 防御率5.01
村田
2014年:143試合出場 打率2割5分6厘 21本塁打 68打点
2015年:103試合出場 打率2割3分6厘 12本塁打 39打点
年俸固定型の複数年契約を2012年オフに結んだ内海、2013年オフに結んだ村田ともに年々成績が芳しくなくなっていることがよく分かる。
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