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90年の人生で確信したリーダーの条件とは?:大田昌秀の「日本を背負って立つリーダーたちよ」(2/4 ページ)
研究者時代の長い海外経験、そして沖縄県知事として国内外の数多くのリーダーたちと交り合った経験などによって、大田昌秀氏が行き着いた理想のリーダー像とは。
2人の米国人リーダー
そうした留学生活のかたわら、米国では数多くのリーダーを見ました。その1人が、マーティン・ルーサー・キング・ジュニアです。ちょうど僕が米国にいるときに、バス・ボイコット運動が起きて、リーダーとしてのキング牧師を知ることとなったのです。
すぐに尊敬の念を抱くようになって、キング牧師について書かれた本などを読むと、インドの政治指導者であるマハトマ・ガンディーを尊敬しているとありました。そこで後に、僕もインドに訪れて、ガンジーの生きた足跡をたどって旅をしました。
もう1人、私が尊敬する米国のリーダーが、アドレー・スティーブンソンです。イリノイ州の知事を務め、大統領選にも立候補した人物です。彼がほかの政治家と異なるのは、一般の人たちと握手するのを嫌ったことです。高度なインテリで、握手をしなかったのが影響したのか、2度も大統領選で負けました。
ところが、彼のスピーチを聞いたときに、こんなに素晴らしい人が米国にいるのかといたく感動しました。温厚な性格だったようですが、非常にリーダーシップに富んだ人でした。
僕は米国に留学し、その後も何度も海外を訪れましたが、そこで痛感したのは、ずっと日本にいて、海外に行ったこともない人というのは決して優れたリーダーになれないということです。さまざまな国の人たちと触れ合い、彼らの文化などを知ることで、多様性を学ぶことができるからです。それは大勢の人の上に立つリーダーに必要なものです。
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