寒い冬に、なぜコンビニは駐車場に水をまくの?:コンビニ探偵! 調査報告書(1/3 ページ)
年中無休のコンビニにとって、年末年始は特に目まぐるしく商売が変化する。普段なら到底ありえないような事件が起きるのも、年末年始という特別な時期なのだ。
コンビニ探偵! 調査報告書:
「タフじゃなければコンビニ経営はできない。優しくなければコンビニを経営する資格がない」……だけど、タフであり続けることも、優しくあり続けることも、簡単ではない。
ほとんどの人が一度は利用したことがある「コンビニ」。ニュースやデータからコンビニで何が起きているのかを、推理して、調査して報告します。筆者は大手コンビニの元本部社員、元コンビニオーナー。コンビニの表と裏を見てきた者だけにしか書けないコラムはいかがですか?
「非日常」のクリスマス
クリスマスを皮切りに、年末年始商戦が始まる。1カ月以上も前から店内を飾り付け、フライドチキンやクリスマスケーキの予約をアピールする。24日のクリスマスイブには、ケーキのお渡しやフライドチキンの販売にてんやわんやとなり、クリスマス商戦も最高潮となる。
そんな中、頼みの綱はアルバイトだ。毎年のことだが、特に24日は忙しいので、筆者がオーナーだったころは時給を普段よりアップしていた。しかし、アルバイトの大半は学生で、若い人たちだ。「クリスマスまで働きたくない」「カノジョと約束あるんで」と、誰もが休みたがる。時給を少々アップしたぐらいでは“焼け石に水”。ただでさえ忙しいのに逆に人手不足となり、忙しさは倍増する。
日本におけるクリスマスのメインは「クリスマスイブ」であり、25日にはクリスマスの名残りを楽しむだけのようにも見える。夜も更けクリスマスの雰囲気も収まってくると、酔っぱらった集団がやって来る。
普段でも酔った人が来店することは珍しくない。大半はある程度年齢を重ねた人だが、クリスマスの日はパーティーをしていた大学生らしき人たちが、妙なハイテンションでご来店。罰ゲームなのか、コスプレをしたまま来る人もいる。
完成度の低い『ドラえもん』や使い古された『ピカチュウ』、寒空の下、上半身裸でおでこに「肉」と書いた『キン肉マン』――。ただでさえ忙しくてヘトヘトなのだが、そんな格好で来られては、こちらとしてもリアクションを取らざるを得ない。
「ドラえも〜ん。ケーキが余っちゃったから買ってよー」と、四次元ポケットから財布が出てくるのを期待して声をかけるが、一銭も持っていない“できの悪いドラえもん”はさっさと逃げていく。全く役に立たない未来型ロボットもどきだ。
25日の夜、クリスマスが終わったからといって安心はできない。飾り付けを正月用に素早くチェンジしなくてはならないのだ。これで店内の様子は一転、日本の年末年始の雰囲気になる。
このように、クリスマスにバイトをするといろんな意味で「非日常」が体験できる。「コンビニの普段の仕事に飽きた」「なんかおもしろいことないかなあ」と思っている人は、シフトを入れてみてはどうだろう。「空き」はまだあるはずだ。
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