寒い冬に、なぜコンビニは駐車場に水をまくの?:コンビニ探偵! 調査報告書(2/3 ページ)
年中無休のコンビニにとって、年末年始は特に目まぐるしく商売が変化する。普段なら到底ありえないような事件が起きるのも、年末年始という特別な時期なのだ。
昼ではなく「夜」に弁当が売れる
ほとんどのコンビニは、通常、お昼を買いに来る人がメインだが、12月28日の仕事納めまでは、遅い時間でも弁当などがよく売れる。残業する人が増えるのだ。事前に追加発注をしておいたり、ポットのお湯を切らさないようにしたり、おでんや肉まんを補充したり――と、何かとせわしなく過ごす。
冬休みになっても、実はコンビニの弁当は需要がある。意外に思うかもしれないが、大掃除や年末年始の買い物などでヘトヘトに疲れ、料理をする気力を失った人や、外食するつもりだったのにあまりの待ち時間にシビレをきらした人たちが、弁当を求めてやって来る。この波は30日ぐらいには収まり、ようやく店も一段落となる。
大みそかも21時を過ぎると二年参り(※)をする人や、初日の出を拝もうと遠出する人たちが動き出すので、24時間営業のコンビニに、また人が集まるようになる。
暴走族を撃退せよ
大みそかの夜は起きて年越しを迎える人が多いだろう。そんな特別な日は、暴走族の「集会」があるのか、筆者が経営していたコンビニの駐車場が、1980年代からタイムスリップしてきたような改造バイクやクルマで埋め尽くされたことがあった。
近年は、過去からのタイムスリッパーだけではなく、運転席と助手席以外はすべてスピーカーのようなクルマもある。年々減っているようだが、まだまだ暴走族は存在しているのだ。
店で悪さをするわけではないが、彼らが来店することで近所から「うるさい」とクレームが入るため、こちらとしても放置するわけにいかない。エンジンを切るように促し、従わなければ警察へ通報する。
ただ、エンジンを切ったからといってそれで終わりではない。彼らにタムロされると困るのだ。しかし、タムロしているというだけで、むげに追い出すわけにもいかない。
そこで編み出したのが、掃除のふりをして店の前に水をまくという手法だ。彼らは、駐車場の車止めを椅子代わりに座る。その椅子を水でぬらして座れなくすることで退去を早めるという、コンビニの昔からの“知恵”なのだ。
これは、夏にはひんぱんにやる手法なのだが、冬場は少し気を付けなければならない。まいた水が凍ると、滑って転倒事故が起きる可能性もあるからだ。
「夜に水をまくの?」「この寒いのになんで?」と疑問に感じた人もいると思うが、実はこういう事情があったのだ。
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