ボーイング787の導入で何が変わったのか?:秋本俊二の“飛行機と空と旅”の話(2/3 ページ)
日本から未就航だった都市へ、新規路線の開設ラッシュが続いている。その立役者として活躍するのが、ボーイング787だ。“ドリームライナー”の愛称を持つ787は、何を実現したのか?
社員たちに勇気を与えてくれた機材
2013年1月のサンノゼ線や2014年3月のデュッセルドルフ線、2015年7月のバンクーバー線など、ANAが787を活用して開設した路線は数多い。同社の広報担当は「787はANAが世界に先駆けて発注・受領した思い入れの強い機材です。優れた機内快適性と高い燃費効率の利点を生かし、当社の成長戦略を担う原動力として今後も787シリーズでネットワークの拡大を図っていきたい」と話す。
一方のJALも、787を受領後は米国のボストンやフィンランドのヘルシンキなどへの新しい路線を開設。最近では2015年11月に14年ぶりとなるダラス・フォートワース線も就航した。787に託す期待の大きさは、JALも同様だ。「現在のJALになくてはならない機材」として、同社広報はその位置付けを次のように語っている。
「2012年4月22日に、JALにとって初めての路線となる成田/ボストン線が就航しました。破たんから再生への1つの象徴として、この新しい路線のスタートは社員たちに大きな勇気を与えてくれたと思っています。経済性と快適性を兼ね備えた787だから実現できた路線ですし、私たちに新しい一歩を踏み出させてくれた787はどの社員にとっても大切な飛行機です」
ところで、旅客機には同一機種の中で「基本型」と言われるモデルと、「派生型」と言われるモデルがある。派生型は、最初に作った基本型をベースに、後の新たな需要に対応するためボディのサイズ(長さ)を延長したり新型エンジンに替えて航続距離を延ばしたタイプ。2014年夏から引き渡しが始まった787-9は、基本型の787-8のボディを6.1メートル、ストレッチしたものだ。ボディを延長する場合、重心位置を変えないよう改良することが必要で、787-9では主翼の前方と後方で3.05メートルずつ延ばしている。見た目にも精悍(せいかん)さが増した。
787-9の1号機は2014年7月にローンチカスタマーのANAへ、その後はJALへの納入も開始された。ANAはミュンヘン線やシアトル線など10路線で、JALもフランクフルト線とハノイ線の2つの路線に投入している。
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