競合店ができても、ドトールの売り上げがあっさり元に戻るワケ:ノッている会社は、ここまでやっている!(3/7 ページ)
コーヒー業界が熾烈な競争を極めている。喫茶店、ファミリーレストラン、コーヒーチェーン、コンビニ、サードウェーブなど、さまざまな業界が参入しているが、そんな中で堅調な売り上げを伸ばしているコーヒーチェーンがある。ドトールだ。
本物のコーヒーへのこだわり
本物を手頃な値段で、というドトールコーヒーの思いは今もまったく変わっていない。中でも本物のコーヒーへのこだわりは、半端なものではない。創業時がそうだったように、店頭価格だけで想像するとドトールコーヒーを見誤りかねない。
コーヒー豆はブラジル、コロンビア、エチオピアなど世界20数カ国から輸入している。だが、買い付けを現地の会社や商社にただ任せることはしない。自分たちの目と舌で豆を確かめ、時には現地に足を運び、直接、品定めをするのだ。
ドトールのクオリティにふさわしい豆を生産するエリアを指定したり、さらにピンポイントに農場や品種、コーヒーの木を指定して輸入することもある。
日本のお米に新潟のコシヒカリ、宮城のササニシキ、北海道のゆめぴりかなど、品種やブランドに違いがあるように、クオリティの高いコーヒー豆を求めるなら、細やかな地域の指定が必要になるのだ。だが、ドトールがやるのは、それだけではない。同じプランテーションの豆を指定する農園指定までやってしまう。
どんな土壌か、そこに適した品種か、どんな農家が作っているか、どれだけ雨が降っているか……。日照時間や生育の仕方で実が大きくなったり、甘みが変わったりするのが、コーヒー。だから、農園にもこだわる。これをコロンビアでもグアテマラでもエチオピアでもやっているのだ。こんなことをしてコーヒー豆を買い付けているケースは、世界にもそうそうないという。それでもやるのは一年中、おいしいコーヒーを提供したいからだ。
ブラジルでは5月頃から収穫が始まるが、前年にもう買い付けは終わっているという。本当においしいコーヒー豆は、市場に出回ったりしないというのである。
新鮮なクオリティの高い豆だけに、輸送にもこだわる。赤道直下を船が通るため、船底指定で運ぶ。日本に届いてからは、常に一定の温度を保つ定温倉庫に入れる。コーヒー豆に定温倉庫、というのは、かつては仰天の発想だったらしい。そして、保管されているコーヒー豆は、その日に使う分だけが毎日、焙煎工場に運ばれる。
コーヒーにこだわりを持っている、小さな喫茶店のオーナーがやっているのではない。親会社(ドトール・日レスホールディングス)は東証一部に上場し、全国展開しているコーヒーチェーンが、大量に必要とする豆にここまでこだわっているのだ。
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