「ガソリンが下落すれば、回転ずし屋の客が増える」は本当か:スピン経済の歩き方(1/5 ページ)
「ガソリン下落 回転ずしが恩恵」というニュースがあった。ガソリン価格が大幅に値下がりしたことで、駐車場付の郊外型回転ずしチェーン店へマイカーで出掛けるファミリー層などが増えているという。「風が吹けば、桶屋が儲かる」といった話だが、本当にそうなのか。
スピン経済の歩き方:
日本ではあまり馴染みがないが、海外では政治家や企業が自分に有利な情報操作を行うことを「スピンコントロール」と呼ぶ。企業戦略には実はこの「スピン」という視点が欠かすことができない。
「情報操作」というと日本ではネガティブなイメージが強いが、ビジネスにおいて自社の商品やサービスの優位性を顧客や社会に伝えるのは当然だ。裏を返せばヒットしている商品や成功している企業は「スピン」がうまく機能をしている、と言えるのかもしれない。
そこで、本連載では私たちが普段何気なく接している経済情報、企業のプロモーション、PRにいったいどのような狙いがあり、緻密な戦略があるのかという「スピン」を紐解いていきたい。
先週、「ガソリン下落 回転ずしが恩恵」という興味深いニュースがあった。
原油安にともないガソリン価格が大幅に値下がりしたことで、駐車場付の郊外型回転ずしチェーン店へマイカーで出掛けるファミリー層などが増えており、ウハウハだというのだ。
記事によると、直近の高値だった昨年夏に比べて3割近くが安くなったことで、浮いたお金で「じゃあ外食でもすっか」という選択肢が増えており、客単価1000円程度である回転ずしに人気が集中しているという。
まさしく「風が吹けば、桶屋が儲(もう)かる」を地でいくような話だが、もちろんロジックだけではない。「ガソリン価格とくら寿司客数の推移」のグラフを紹介し、「どうだ」と言わんばかりに右肩上がりとなっている前年同月比推移と、右肩下がりのガソリン価格を重ねているほか、はま寿司を展開しているゼンショーホールディングスの担当者の「ガソリン価格が下がると、郊外型の来店客が増えるのは間違いない」というコメントも紹介している。
なんやかんやで週1回くらいのペースで、回転ずしを利用する身からすると、この記事で述べられていることは大いに頷(うなず)ける。スシローだろうが、くら寿司だろうが、夕飯時になるとファミリー層でごったかえし、時には駐車場に入れないこともある。クルマのガソリン下落が影響しているんだろうなあという肌感覚はある。
ただ、その一方で、しっくりこない部分もある。
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