フランスで「食品廃棄禁止法」が成立、日本でも導入すべき意外な理由:世界を読み解くニュース・サロン(3/6 ページ)
フランスで「賞味期限切れ食品」の廃棄を禁止する法律が成立した。世界で類を見ない画期的な法律であると世界各地のメディアで取り上げられ話題になっている。課題もたくさんあるが、フランスのこの取り組みは日本でも参考になるのではないだろうか。
フランス国内では「必要ない」との意見も
また法律によれば、寄付される廃棄食品の仕分けをするのはスーパーマーケット側だ。腐ったものやつぶれた食品などを排除するのは店側の責任になり、食べられないゴミが寄付に紛れ込まないようになっている。だが逆に、必要以上の食品が慈善団体などにどんどん流れて溢れ返り、「体のいいゴミ箱」に化す可能性も指摘されている。
さらには、廃棄処分にしない食品を誰が集めて、分配するのにいくらかかるのか、という問題もある。明らかにフランスのチャリティー団体などはさらなる人手が必要になるし、法律では、チャリティー側が食品を保管する冷蔵庫やスペースを確保する必要があるとしている。
フランスでも、これまで何も対策が行われていなかったわけではない。さまざまな食品関連業者から、困窮者に食料を配給する民間の組織やチャリティーに対して、これまでをまとめると10万トンの寄付が行なわれている。そのうち、3万5000トンがスーパーマーケットからの寄付食品である。
フランスが誇る世界的なスーパーマーケットチェーンのカルフールも、2013年から「反廃棄」運動を行っており、消費期限(期限を過ぎたら食べられない年月日)を伸ばしたり、フードバンク(食品メーカーやスーパーから出される賞味期限が近かったり、外装が汚れていることで廃棄されているが問題なく食べられる食品を再分配する組織)に売れ残り食品を再分配したり、ワケあり商品を売ったりもしている(参照リンク)。
以上のように、フランス国内では「必要ない」との意見も出ているのである。
関連記事
- 「最恐の殺人地域」を救うことができるのか 武器は日本の意外な“文化”
「中南米は危険」といった話を聞いたことがあると思うが、私たちが想像している以上に“危険”であるようだ。「世界で最も暴力的な都市2015年」を見ると、上位に中南米の都市がランクイン。こうした状況に対して、日本のある文化が期待されている。それは……。 - 世界が販売禁止に乗り出す、“つぶつぶ入り洗顔料”の何が危険なのか
スクラブ製品が、世界的に注目されているのをご存じだろうか。私たちが何気なく使っているスクラブ洗顔料や歯磨き粉などの一部には、いわゆる「マイクロビーズ」と呼ばれるプラスチックの粒子が使われている。その粒子が……。 - 中国政府がいま最も恐れているのは、ネット上の「くまのプーさん」
中国共産党がネット上の検閲に力を入れている。いわゆる「サイバーポリス」と呼ばれる工作員が反政府的な発言などをチェックしているが、2015年に最も削除された発言は……。 - なぜ「楽天」が世界中で叩かれているのか?
英語の社内公用語化など、グローバル企業への成長を目指して動き出した楽天。だが、本当に必要なのは「国際企業ごっこ」ではない。国際社会に対する社会的な貢献が求められる。 - 世界から「児童ポルノ帝国」と呼ばれるニッポン
衆議院で可決した「児童買春・ポルノ禁止法」改正案。日本では大きく報じられていないように見えるが、海外では大きな話題になっている。規制が強化された格好だが、海外メディアの反応は厳しい。その内容とは……?
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.