「決して安くない」のに、なぜ成城石井で買ってしまうのか?:ノッている会社は、ここまでやっている!(2/7 ページ)
総合スーパーが苦戦している中で、業績好調の企業がある。都市部を中心に展開する成城石井だ。店内には珍しい商品がズラリと並んでいるが、なぜそのような品ぞろえができるのか。『成城石井はなぜ安くないのに選ばれるのか?』の著者・上阪徹氏によると……。
成城石井が支持されるワケ
まず、成城石井の強さのひとつが、品ぞろえの豊富さ、独特さである。輸入商材、隠れた名品、地方の名産品をはじめ、独自商材が極めて多い。
ワイン、チーズ、生ハム、紅茶、コーヒー、オリーブオイル、ジャム、味噌、牛乳、納豆、昆布、鰹節、ダシ、チーズケーキなどなど、有名なメーカーのものも置いてあるが、成城石井でしかお目にかかれない商品も多い。買うときの選択肢が幅広いのだ。
塩ひとつとってみても、種類はずらり。一般のスーパーに置かれているような標準的な商品もあるが、500グラムで1200円前後という高級品もある。
人気のチョコレートは、本場のベルギーやフランスからの直輸入品も多い。ただ輸入したものを店頭に並べるだけではない。輸入品はワンパックの量が多く、包装は日本のクオリティのほうが高いため、小分けして自社で包装し直しているものもある。
どの店舗でも高い人気を誇る成城石井オリジナルのコーヒーは、オールアラビカ種。クオリティに対するコストパフォーマンスの良さが人気の理由で、プロのコーヒーショップのマスターが買いに来ることもあるという。
こうした国内外からの商品に加えて、成城石井が「オリジナル商品」と呼んでいる、いわゆるプライベートブランド商品もたくさんある。味や品質、原材料や安心安全のこだわりの食材を求めるあまり、世の中になければ自分たちで作ってしまおう、となった。牛乳、納豆、キムチ、ジャム、ラーメン、水餃子など、ひっそりと成城石井のロゴマークの入った人気のPB商品は多岐にわたる。
輸入商材にオリジナル商品も加わり、全体の3割が、他ではまず変えない商品になっている。この品ぞろえのユニークさ、しかもそのクオリティの高さが、大きな人気の理由だ。
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