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「地球外生命体」と「火星移住」を研究する日本人を知ってますか?:宇宙ビジネスの新潮流(2/4 ページ)
人類は火星に移住できるのか? 地球の外にも生命体は存在するのか? そんな夢のあるテーマについて、日米を行き来しながら研究する一人の日本人がいるのをご存じだろうか。
生命の共通祖先「LUCA」
1つ目の研究テーマは、元々行っていた生命の起源です。地球上の生命は系統上、原始生命からバクテリア(真正細菌)、アーキア(古細菌)、ユーカリア(真核生物)の3つに大別されています。我々人類はユーカリアに属していますが、ご先祖であるアーキアから派生した枝の1つととらえることができます。生命の枝の大元である共通祖先として概念提唱されているのが、約38億年前に地球上に存在していたLUCA(Last Universal Common Ancestor)です。
これまでに原始地球の環境を再現して、有機物やアミノ酸が生成されるかという実証実験も行われており、生命の進化の過程では、無機物から有機物ができ、そこから原始代謝系が外部エネルギーを取り込む構造や膜を持ち、核酸ができたことで遺伝情報を持つようになりました。その結果、情報の複製が容易にできるようになったことで生物進化上の革命が起きたと理解されています。
また、生命が生き残るという観点では、多様性と選択圧に対して応答できることが重要です。突然の環境変化が起きて99%が死滅しても1%が生き残る。そうしたバリエーションがあるというのが生命体として健全な状態とも言えます。このように多様な研究が進んできていますが、地球の誕生からLUCAに至るまでの進化の歴史はまだ不明確なところが多く、そこがまさに研究テーマになっています。
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