「地球外生命体」と「火星移住」を研究する日本人を知ってますか?:宇宙ビジネスの新潮流(3/4 ページ)
人類は火星に移住できるのか? 地球の外にも生命体は存在するのか? そんな夢のあるテーマについて、日米を行き来しながら研究する一人の日本人がいるのをご存じだろうか。
火星移住には複数のアプローチが存在
第2の研究テーマは火星移住です。米国では昨今、宇宙ベンチャー企業・SpaceXのイーロン・マスクCEOが火星移住の必要性を訴えていますが、生命のメカニズムの観点から見ても、宇宙進出はいつの日か必然になると思います。
人類を含む地球上の生命体が利用するエネルギーが、地球上で得られるエネルギーの総量を上回るときがきたら、他惑星への移住が必要となります。生き残るために常に新しい場所を求めてきたというのは生命のメカニズムなわけです。
例えば、火星移住のためには火星環境に適応する形で生活するか、火星の環境自体を変えるかです。前者の観点では、火星の地表に存在する有害物質である過塩素酸を分解できて、塩分濃度の高い火星の地下水でも培養が可能な人工的な「好塩菌」をどう作り出すかが鍵を握ります。これが実現すれば、過塩素酸から取り出した酸素を有効利用できるようになるわけですから。
火星移住と直接つながるわけではないですが、宇宙空間で光合成を行う実験が2017年に行われる予定であり、また米マサチューセッツ工科大学の学生が始めた人間の腸内細菌を活用するための便バンクや便移植で腸内を整えるという研究もなされています。
火星のような閉鎖系環境では、「地産地消」でどのようにエネルギーや資源を無駄なく利用するかが課題であり、こうした取り組みが活用される可能性もあると思います。人間の腸内に有益な細菌を入れて火星に移動し、そこで排出するというコンセプトもあります。
他方、環境自体を変えるのは「テラフォーミング」と呼ばれます。例えば、火星の平均温度を4度上げると火星のドライアイスが昇華し、二酸化炭素(CO2)濃度が高まり、北極の氷が溶けて水ができます。この温度上昇のために巨大ミラーで集光したり、フロンガスを活用したり、人為的に隕石を落とすといった方法が科学的には議論されます。もちろん倫理的観点から行うべきか否かは全く別問題ですが。
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