チョコだけでは限界? 日本のバレンタイン市場:来週話題になるハナシ(2/3 ページ)
今年も「バレンタインデー」が嵐のように過ぎ去った。百貨店やスーパーなどではチョコレートがたくさん並んでいたが、経済効果を考えるとそろそろチョコだけでは“限界”にきているのではないだろうか。
米国のバレンタイン事情
冗談に聞こえるかもしれないが、米国におけるバレンタインデーの状況を見るとあり得ない話でもない。
まず、米国ではバレンタインデーに男性が女性に花束やジュエリーを贈ったり、ロマンティックなディナーを計画するのが一般的だ。もちろん、女性も同様にチョコレートや花束を購入したり、カードを贈ったりする。
2016年、米国のバレンタインデー・ギフト全体の売り上げは約200億ドル(2兆2936億円)が予測されている。その内訳は、フラワーギフトに20億ドル(2294億円)、チョコレートなどに17億ドル(1950億円)、そしてジュエリーに44億ドル(5046億円)が費やされる見込みだ。
そして男性のほうが圧倒的に多く金を使うのである。全米小売業協会が調査した2015年のデータによると、米国人男性がバレンタインデーのギフトにかける平均金額は約190ドル(2万2000円)で、なんと女性の2倍という数字だった。(ちなみに、この金額にはディナーの費用は含まれていない)
バレンタインデーに男性が何を贈っているかというと、ギフトのテッパンは花束などのフラワーギフトだ。2015年のバレンタインデーでは、61%もの男性がフラワーギフトを購入している。そのため、バレンタインデーは年間売上高の2割を占めるほど、フラワー業界には外せないビジネス商戦になっている。
売り上げの規模で言えば、ジュエリー業界もかなりデカい。32%の男性がネックレスやイヤリングなどのジュエリーを購入していて、その平均購入額は216ドル(2万4800円)にもなる。
男性をターゲットにすると経済効果が高くなる、と考えられるもう1つの理由は、新たなトレンドとして広がりが期待できるからだ。バレンタインデーのギフトが、定番のチョコレートだけではなく、米国のようにさまざまなアイテムに広がれば経済規模も拡大するはずだ。
例えば、米国でギフトの他に一般的なのが、ロマンティックなディナーだ。米国の飲食業界の間では、母の日に次いで2番目に忙しい日が、バレンタインデーと言われている。初デートの口実やプロポーズの場などシチュエーションにより、レストランやバーの選択肢や使う金額も大きくなる。
バレンタインデーが週末となった2016年は、ロマンティックなディナーだけではなく、ショーを観に出かけたりとデートに費やす金額が、45億ドル(5161億円)にもなると見込まれている。こうしたデートの演出にも多額のカネが落ちる。
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