日本マクドナルドに回復の芽はあるのか?:証券アナリストに聞く(2/2 ページ)
2015年12月期の決算で過去最大となる347億円の最終赤字を計上した日本マクドナルド。いまだ厳しい経営状況にあるが、徐々に回復の兆しが見え始めているという。楽天証券経済研究所 チーフ・ストラテジストの窪田真之氏が解説する。
ブランドイメージを変える
マクドナルドが過去を否定してビジネスモデルを変えるのには、相当長い時間がかかると筆者は思っていた。ところが、日本マクドナルドは、案に反し、予想以上のピッチでビジネスモデルの変革に進んでいる。
まずは、メニュー改革を行った。ヘルシーメニュー、季節限定メニュー、地域限定メニューなどの形で、単価を上げた新製品を次々と出した。試行錯誤でうまくいかなかったものもあるが、少しずつ顧客の評価を得られるようになってきている。
単価を上げることで、「低価格でガッツリ」食べることを好むディープなファンが離れていくことが懸念されていた。実際、一時そういう現象もあったが、2015年10月に3種類の200円バーガーをそろえた「おてごろマック」メニューを打ち出すことで、既存ファンのつなぎとめにも一定の成果を得ることができた。
日本マクドナルドは、メニューを変えるだけでなく、デザイナーを起用してインテリアをモダンに改良するなど店舗全体のムードを変えることで、ビジネスモデルの抜本的転換を図っている。2015年は、153店を閉店する一方、408店で改装を行っている。2016年はさらに500〜600店の改装を行う予定だ。メニュー、サービス、店舗を同時に変えることで、ブランドイメージを変える戦略だ。
日本マクドナルドが公表した今期(2016年12月期)の業績予想によると、純利益が10億円の黒字に転換する。構造転換にコストがかかるため、利益水準は低いままだ。構造改革の成果で利益が本格的に回復するのは、2017年以降となりそうだ。
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