ブルーボトルコーヒーは店の裏で何をしているのか:水曜インタビュー劇場(カフェ公演)(5/5 ページ)
米国発の喫茶店「ブルーボトルコーヒー」が日本に上陸して、1年が経過した。カフェといえばテクノロジーの世界とはあまり縁がないように感じるが、実は……。
ブルーボトルコーヒーの「世界観」
土肥: 話は変わります。現在は2店ですが、今年は3月に新宿、下期に六本木にオープンするそうですね。「ウチのテナントにも出店してほしい」といった声も多いのでは?
井川: 多いですね。毎日、数件ほどあります。
土肥: そ、そんなに!?
井川: 都市の主要部だけに限らず、地方都市からもたくさんの声をいただいています。「一緒に街づくりをしませんか?」といった話も多いですね。
土肥: では、弊社のオフィスの近くにも。7月に東京の麹町に移転するので、そのあたりにもぜひ(笑)。
井川: ははは。たくさんの声をいただいているのですが、出店数を増やすのが当社のゴールではありません。自分たちの世界観を表現できるのかどうか。そこを重視しているんです。
土肥: 飲食チェーンといえば、目標○○店、売り上げ○○億円を目指す、といった大胆な数字を掲げているところが多いのですが、そういった会社とは違うわけですか。ところで、ブルーボトルコーヒーの「世界観」って何ですか?
井川: おいしいコーヒーを多くの人に飲んでいただきたい。これが会社の世界観でして、「おいしいコーヒー」を提供するためには豆がおいしくなければいけません。また、その豆をどのように焙煎して、どのように一杯一杯のコーヒーを淹れるのか。といったことをとても大切にしているので、「おいしいコーヒー」を提供できなくなるような店舗展開は考えていません。
土肥: ちなみに、売り上げの数字は公表されていますか?
井川: いえ。ただ、1年目はたくさんのお客さんに来店していただいたので、数字は予想以上のものになりました。ただ、ここで気をつけなければいけないことは、数字だけを追い求めてはいけないということ。店で1日に提供できるコーヒーの数には限界がありますので。ドリップの時間を短くすることなんてできませんからね(笑)。
土肥: そんなことをしたら“不自然な数字”になってしまう(苦笑)。本日はありがとうございました。
(終わり)
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