ホワイトカラーも一流にする「トヨタの自工程完結」:ノッている会社は、ここまでやっている!(4/7 ページ)
日本を代表する企業「トヨタ自動車」が、2007年から社内で大きな「取り組み」を進めている。「ホワイトカラーの働き方」改革だ。どんなことをしているかというと……。
正しいアウトプットを出すために6つのフロー
この「意思決定」の一つひとつこそ、現場で言うところの「工程」。これを正しくないやり方でしてしまえば、結果を間違ってしまう。では、正しい「意思決定」=最終的な正しいアウトプットを出すために何が必要になるのか。そのポイントは6つのフローにある、と佐々木氏は書いている。これぞまさに「自工程完結」のフローだ。
(1)「目的・ゴール」をはっきりさせる
例えば資料づくりなら、その資料はいったい何のために作られるのか。何が「目的・ゴール」なのか。それを分かって資料を作るのと、分からずに資料を作るのとでは、結果は大きく違ってくる。ところが、多くのケースで、これができていない。「目的・ゴール」のない仕事は、何ももたらさない可能性が高い。
(2)「最終的なアウトプットイメージ」を明確に描く
仕事を委ねられ、やってみたら仕事の依頼者にやり直しを命じられてしまった。一生懸命にやったのに、けんもほろろで突き返されてしまった。これは、「最終的なアウトプットイメージ」が、仕事の依頼者と共有できていないことが原因。ロスが発生し、生産性も下げる。共有できている「つもり」も危険。
(3)「プロセス/手順」をしっかりと考え、書き出す
仕事は意思決定の連鎖。いつどこで、どんな材料を使って、どのように意思決定するか。それは「プロセス・手順」によって構成されているが、その分解の仕方は極めてぼんやりしているケースが多い。他の人や新しくやってきた人にもすぐに委ねられるほど分解、構築できているか。勘でやってはいけない。洗い出し、書き出されていなければいけない。
(4)次の「プロセス・手順」に進んでよいかを判断する基準を決める
仕事のアウトプッドが正しいものになるかどうかを大きく左右するのが、「プロセス・手順」の一つひとつが確実に正しく実行されていくかどうか。意思決定を行うための情報の優先順位、次のプロセスに進んでいいかが分かる「判断基準」が求められてくる。
工場の生産現場でシビアで細かな作業を積み重ねてきた技術屋の目から見ると、スタッフ部門は仕事の進め方がどうにも大ざっぱに映ったという。しっかりした判断基準が作られていない。また、情報ばかり集めて判断基準が決められないというケースもある。上司が腹を決めて決断するためにも判断基準は必要。そして、これがはっきりしていれば、多くの人に判断ができるようになる。
(5)正しい結果を導き出すために「必要なもの」を漏れなく出す
工場では、正しい結果を導き出すために必要なものを「良品条件」と呼んでいる。スタッフ部門でも、「プロセス・手順」ごとに正しい結果を導き出すために「必要なもの」を抜け・もれなくピックアップしておく必要がある。
(6)仕事を振り返り、得られた知見を伝承する
仕事の結果が良かったか、良くなかったかを振り返り、良くなかった場合には、どこに問題があったのかを確認し、修正していく。
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