欧州の小国・ルクセンブルクが宇宙関係者から熱視線を集める理由:宇宙ビジネスの新潮流(3/3 ページ)
ドイツやフランスに挟まれた小さな国、ルクセンブルクが今、世界の宇宙ビジネスの中で注目を集めている。そのわけとは?
新宇宙カンファレンスを立ち上げる
今年5月には、ルクセンブルグ政府やESAの後援を受けて「SPACE FORUM 2016 ICTと宇宙のアライアンス(宇宙産業の民主化)」と題したカンファレンスも立ち上がる。毎年4000人規模を集めているIT関連のカンファレンス「ICT SPRING」と併設開催する形だ。
公開されているアジェンダでは、グローバルコネクティビティ、IoT(モノのインターネット)とモビリティ産業(車、航空、海洋)、サイバーセキュリティ、ICT企業や投資家にとっての機会(資源探査含む)などがあり、ルクセンブルグが強い情報通信産業と宇宙産業との融合領域を中心としたテーマが多いのが特徴的である。
既に発表されているスピーカーだけでも、前述のジャン・ジャック・ドーダン氏、月面無人探査レースを主催している米Google Luna XPRIZEでシニアディレクターを務めるチャンダ・ゴンザレス氏、エンジェル投資家のネットワークを束ねる米Space Angele Networkのチャド・アンダーソン氏など多彩な顔ぶれだ。
前述の松野エグゼクティブ・ディレクターも「日本の宇宙ベンチャーの登壇も予定されています。同フォーラムで議論されるテーマは、宇宙産業の裾野を広げつつある日本の関心事である可能性が高く、今後の交流発展を期待します」と語る。宇宙産業に積極投資を始めたルクセンブルグの動きに注目していきたい。
※初出時の記事に一部誤りがありました。訂正してお詫び致します。(3/4 17:12)
著者プロフィール
石田 真康(MASAYASU ISHIDA)
A.T. カーニー株式会社 プリンシパル
ハイテク・IT業界、自動車業界などを中心に、10年超のコンサルティング経験。東京大学工学部卒。内閣府 宇宙政策委員会 宇宙民生利用部会 委員。民間宇宙ビジネスカンファレンス「SPACETIDE2015」企画委員会代表。日本発の民間月面無人探査を目指すチーム「HAKUTO(ハクト)」のプロボノメンバー。主要メディアへの執筆のほか、講演・セミナー多数。
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