トランプという“大統領候補”をつくりあげたのは、誰か:世界を読み解くニュース・サロン(2/5 ページ)
「米国の大統領がトランプになったらどうなるのか。日本は大丈夫?」といった不安を感じている人も多いかもしれない。過激な発言を繰り返すトランプという“モンスター”をつくったのは、いったい誰なのか。筆者の山田氏によると……。
メディアに広がる動揺
次に重要になるのは、3月15日に行われる大票田のフロリダ州とオハイオ州などの予備選。これらの州では首位の候補者がすべての代議員を獲得する「勝者総取り」になることもあって、その結果で候補者争いはほとんど道筋が見えるだろうとの見方もある。
そして今の状況から分かるのは、その投票までが今回の大統領選では大きな山場であり、重要な勝負となりそうだ。そしてその事実を前にして今、メディアと共和党には大変な混乱が見える。
というのも、スーパーチューズデーの結果によって、トランプをめぐる周囲の空気がうねり始めているからだ。
まずはメディアだ。実はほとんどのメディアは、これまでトランプが指名候補になることはないとバカにしてきた感があった。だがさすがにここまでトランプが躍進していることで、CNNなど米メディアも専門家を集めてトランプの躍進を正面から議論したり、大手紙も論説で共和党にトランプの勢いを止めるよう促すなど、メディアに広がる動揺も感じられる。
そもそも、トランプという“大統領候補”を作り上げたのには、メディアにも責任がある。トランプ自身もこう語っている。「あのさ、テレビでは、FOXニュースやCNNで、トランプの名前を連呼している。信じられるか? トランプだらけさ。ちなみに、そうすれば視聴率がいいんだよ。もし視聴率が悪かったら、私を取り上げない。正直言うけどね。テレビとエンターテインメントにおけるシンプルな法則なんだよ。視聴率が良ければ、そう、視聴率さえ良ければ……何も特別に話題がなくても、常に取り上げられるのさ。恐ろしい大変な病気の治療法を見つけても、視聴率が取れなければ、報じることもしなくなる。そういう単純なものさ。非常に単純だ」
この言葉が全てを物語っていると言える。彼はテレビタレントとして、10年以上人気を誇ったリアリティ番組に主演していたことから、メディアの扱いには慣れているのである。どうすれば自分が、テレビ番組で実現したように、人気タレントになれるのかも、だ。そしてメディアはトランプのバカげた発言をいちいち取り上げてきた。
関連記事
- フランスで「食品廃棄禁止法」が成立、日本でも導入すべき意外な理由
フランスで「賞味期限切れ食品」の廃棄を禁止する法律が成立した。世界で類を見ない画期的な法律であると世界各地のメディアで取り上げられ話題になっている。課題もたくさんあるが、フランスのこの取り組みは日本でも参考になるのではないだろうか。 - 世界が販売禁止に乗り出す、“つぶつぶ入り洗顔料”の何が危険なのか
スクラブ製品が、世界的に注目されているのをご存じだろうか。私たちが何気なく使っているスクラブ洗顔料や歯磨き粉などの一部には、いわゆる「マイクロビーズ」と呼ばれるプラスチックの粒子が使われている。その粒子が……。 - 中国政府がいま最も恐れているのは、ネット上の「くまのプーさん」
中国共産党がネット上の検閲に力を入れている。いわゆる「サイバーポリス」と呼ばれる工作員が反政府的な発言などをチェックしているが、2015年に最も削除された発言は……。 - なぜ「楽天」が世界中で叩かれているのか?
英語の社内公用語化など、グローバル企業への成長を目指して動き出した楽天。だが、本当に必要なのは「国際企業ごっこ」ではない。国際社会に対する社会的な貢献が求められる。 - 「最恐の殺人地域」を救うことができるのか 武器は日本の意外な“文化”
「中南米は危険」といった話を聞いたことがあると思うが、私たちが想像している以上に“危険”であるようだ。「世界で最も暴力的な都市2015年」を見ると、上位に中南米の都市がランクイン。こうした状況に対して、日本のある文化が期待されている。それは……。 - 世界から「児童ポルノ帝国」と呼ばれるニッポン
衆議院で可決した「児童買春・ポルノ禁止法」改正案。日本では大きく報じられていないように見えるが、海外では大きな話題になっている。規制が強化された格好だが、海外メディアの反応は厳しい。その内容とは……?
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.