なぜマイクロソフトは自社ブランド端末「Lumia」を日本に投入しないのか?(2/4 ページ)
さまざまな企業が参入し、日本で「Windows 10 Mobile」搭載のスマートフォンが相次いで発売されている。マイクロソフトは力を入れているというが、その本気度を感じられない、ある理由があるのだ。
法人向けが主流
国内にWindows 10 Mobile搭載スマホを投入する各社の製品戦略を見ると、一部には個人ユーザーを対象にした展開を行っているものもあるが、ほとんどの製品に共通するのは法人ユーザーへの提案を軸にしている点だ。
その背景には、個人向けアプリの品ぞろえが遅れていること、そして、数多くの法人ユーザーが利用しているWindows搭載PCとの親和性が高いという点が挙げられる。「Windows 10 Mobileは、法人からの引き合いが強い。Windows 10のセキュリティの高さが、スマホでも評価されている」(日本マイクロソフトの金古氏)とする。アプリが少ない分、社員が勝手にアプリをダウンロードすることがないため、それがセキュリティを高めることにつながるという、ソフトの少なさを逆手に取った提案も行われている。
量販店においても、市場における認知度の低さなどの観点から、在庫を確保して大々的にWindows 10 Mobileを展開できないという事情も、法人向けの提案を後押ししている。法人ビジネスであれば、在庫を持たずに、受注生産をベースとした商談を進めることができるからだ。
もう1つ特筆できるのは、メーカー側のメッセージ訴求が、iPhoneやAndroid端末とは異なるという点だ。VAIOでは、「スマホというよりも、Windows搭載PCの延長線上の製品と位置付けている」(VAIO・大田義実社長)とし、日本HPでも「スマホでもなく、タブレットでもない。PCと親和性が高い新たな領域の製品として訴求していきたい」(日本HP・岡隆史社長)と語る。
どちらも、スマホでありながら、スマホとしての訴求は控え、Windows搭載PCとの連携の強さを前面に打ち出している。スマホをWindows 10搭載PCのように操作できる「Continuum」機能を、Windows 10 Mobileの特徴の1つにしていることも、PCの延長線上というアピールにつながっている。
10社が参入するというにぎやかさの反面で、ビジネスモデルは法人向けにフォーカスした、地に足のついた地道な手法を取っているのが、今のWindows 10 Mobileということになる。
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