次世代データセンターは新潟に経済効果をもたらすか?:「雪害」から「利雪」へ(2/3 ページ)
いま新潟県で官民一体のデータセンターが相次いで新設されようとしている。なぜ新潟なのか? そこには他の地方ではなかなか実現が難しい理由があった。
グリーン政策に積極的な新潟県
かねてより新潟では、再生可能エネルギーの導入を促進し、環境問題への対応と県内産業振興を図る「新潟版グリーンニューディール政策」を打ち出していた。その一環として、泉田裕彦知事が雪冷熱を利用したDCの誘致、建設に意欲的で、地方創生の観点からもその必要性を強調していた。
ほかの地方DCと比べて新潟の優位性は、東京から新幹線で2時間程度という距離の近さと、寒冷地であることによる自然エネルギー資源の効果的な利用だという。
そこで2015年には雪冷熱DCの設置に適した立地のアセスメントを完了し、魚沼市、上越市、津南町、十日町市の4カ所を選定した。津南町では先行して今年4〜5月に竣工、事業開始を予定しており、5〜9月には雪冷熱の効果検証が行われる。同DCでの貯雪量は3100立方メートルで、冷熱供給期間中に消費電力量12万9600kWhを6万7900kWhにまで削減する計画だ。
県の委託事業と並行して、民間主体のDC新設の動きも活発化している。その1つ、2017年末に新潟県長岡市に竣工予定の省エネルギー型DC事業プロジェクトが4月1日にスタートした。手掛けるのは、インターネット広告代理店のメディックス。新会社となるデータドックを立ち上げ、新たなDCの構築プロジェクトを指揮する。
長岡を選定した理由として、東京から最短90分でたどり着ける立地に加えて、新潟の中では比較的雪が少ないため、大雪による交通マヒといった問題は起きにくく、緊急時にもすぐにDCに駆け付けることができるからだという。
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