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NYで「副業Uberドライバー」が増加中。人気の陰に“課題”もNY在住ライターのスマートIT活用術(6/6 ページ)

NY在住のフリーライター公文紫都が、日々の生活におけるスマートIT活用術を 紹介する当連載。第一弾に続き、NY暮らしに欠かせない『Uber』に関する話題を取り上げます。今回は、ニューヨークで増加中の「副業Uberドライバー」について。副業として人気を集める理由と、その陰に潜む課題に迫ります。

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今後はどこまでドライバーのケアがされるか?

 友人は他にも、次のような不満をUberにぶつけています。「道が舗装されていない、長距離を運転したなどの理由でUberに利用している自前のクルマがダメージを受けたとしても、これもUberの保険対象にはならない 」。同じくUberドライバーとして働く彼女の知人は、クルマの修理のために「1万ドル」を自腹で支払ったそうです。


「チップの許可」など、Uberと異なる路線で対抗するLyftは、ピンクのヒゲがトレードマーク。スマートフォンを2台装備して、UberとLyftを兼務するドライバーも多い

 彼女の言い分は、Uberが抱える「雇用問題」に起因しています。Uberはドライバーを「社員」としてではなく、「契約ドライバー」として採用しているため、「社員」であれば当然受けられるような保険や福利厚生といった手当は、基本的に付けていません。そのため、「個人の資産」であるクルマのメンテナンス費用は、「自腹」とならざるを得ないのです(居住者全員が確定申告をする米国では、こうした費用は『経費』と認められるので税額は減りますが、それでもUberからの収入がすべて所得になるわけではありません)。

 1年前の話ですが、サンフランシスコでUberのドライバーらが、自分たちは「契約者ではなく従業員だ」と主張する集団訴訟を起こしました(参照リンク)。Uberや、競合サービスのLyftはこの訴えに対して争う姿勢を崩しておらず、いまだに明確な決着がつかないまま長引いています。

 私の友人は「社員として扱ってほしい」と明示的に発言しているわけではないですが、「Uberのドライバーに対する扱いを改善してほしい」「もっと手厚くサポートしてほしい」と言っていることから、「社員並みのサポートを受けたい」と考えているようです。彼女は副業ドライバーでUberにコミットしている時間は少ないですが、Uberドライバーを本業にしている人も大勢いるので、「リスクを軽減しながらしっかり働きたい」と訴えるドライバーが多いのは、当然かもしれません。

 Uberは、ドライバー・乗客双方の評価制度により保証された「高品質なサービス」を売りにしているので、ドライバーの質の向上は、今後も大きな課題となるでしょう。質を維持するには、報酬面でも保険の面でもどれだけドライバーをケアし、リスクを減らしていけるかは1つポイントになると思うので、今後Uberがどんな対策を講じるかは気になるところです。

 また日本でも大手企業を含め、「副業解禁」の流れが目立ち始めているので、もし将来的に日本でUberが今の「タクシー配車」の域を超え、個人ドライバーも活躍できるようになったら、先行する米国や他国で培ったノウハウがどんな形で生かされていくのか。こちらも興味深いところです。

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