NYで「副業Uberドライバー」が増加中。人気の陰に“課題”も:NY在住ライターのスマートIT活用術(5/6 ページ)
NY在住のフリーライター公文紫都が、日々の生活におけるスマートIT活用術を 紹介する当連載。第一弾に続き、NY暮らしに欠かせない『Uber』に関する話題を取り上げます。今回は、ニューヨークで増加中の「副業Uberドライバー」について。副業として人気を集める理由と、その陰に潜む課題に迫ります。
複雑なUberの保険ポリシーが、ドライバーの不満を募らせている?
彼女の話を聞いていくと、多少、Uberの現在の保険ポリシーを捉え違えているところもあるようです。しかし彼女はとても聡明な人なので、彼女でさえ捉え違うほど、Uberの提供する保険ポリシーが複雑過ぎるのだと思います。この複雑さにより、正しくUberの保険ポリシーが伝わらず、多くのドライバーの不満を募らせる一端となっているのかもしれません。
現時点で、公式サイト上で説明されている保険は、上の図のポリシーに従っています。Uberはドライバー用に、乗客用とは異なるドライバー向け専用アプリを提供しており、それによって、「誰に呼ばれたか」「どこが目的地か」といった内容や、ドライバーが実際に通ったルートなどを管理しています。そして保険の適用も、ドライバーが「どんな状況だったか」によって細かく決めているようです。
図から分かる範囲で、保険の適用基準を見ていきましょう。
オフライン: Uberドライバーが専用のアプリを立ち上げていない間の事故は、ドライバー個人の自動車保険を使うことを想定しています。
PERIOD(期間)1: ドライバーがアプリを立ち上げたものの、乗客が決まっていない&乗せてもいない間は、いわゆる「対人・対物」の損害保険が適用されます。ただし個人の自動車保険で支払えなかった分の補てんのみになり、上限額も対人が5万ドル、対物が2万5000ドル、トータルで10万ドルと、必要最低限しかカバーされません。
PERIOD 2・PERIOD3: アプリを通じて依頼があった乗客をピックアップするまでの間と、乗客を乗せている間は、対人・対物保険については、Uberが全面的に損害賠償します(上限は100万ドルで、保険未加入や賠償額が少ない保険に加入している相手に対しては、プラス上限100万ドルの対人保険)。さらにUberドライバーが「衝突車両補償」に入っている場合は、車の修理などにかかる費用が保険でカバーされる「総合補償」の対象になります(控除免責金額は1000ドル)。
つまり、ドライバーが自分のクルマに「車両保険をかけている」場合は、乗客に呼ばれてから乗客を目的地に送り届けるまでの間のみ、Uberが車両保険を肩代わりしてくれる、ということです。
前述の彼女が説明するケースは、実際には次のようなパターンになります。
- 個人で車両保険に入っていない場合。Uberは車両保険の面倒を一切見てくれない
- 個人で車両保険に入っていても、上記の「PERIOD1(乗客が決まっておらず空車で流している間)」。Uberは一切補てんしないので、個人の車両保険でカバーする必要がある
Uberの普及により、自動車保険会社は、Uberドライバーに対する保険金の支払いを渋る傾向があるようです。特に「PERIOD1」のような、ドライバーがUberに対して役務提供中か否かの判断が分かれるようなケースでは、保険金が支払われず、多大な自己負担が発生するケースが出ているのでないかと想像します。
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