重くなったのに、なぜ軽く感じるのか 売り子が背負うビールサーバー:水曜インタビュー劇場(軽く感じる公演)(4/6 ページ)
野球場などでキャストと呼ばれている“売り子”が生ビールを販売している。彼女たちが背負っているサーバーは重いので、アサヒビールとデサントは共同で新しいモノを開発。さざかし「軽く」なったんだろうと思っていたら、実は「重く」なっていた。えっ、どうして……?
腰ベルトの位置に問題
デサント: はい。先ほども紹介しましたが、2代目は軽量化に成功しました。ただ、腰ベルトの位置に問題がありました。ベルトを付けてもおへその上に位置するので、付けても肩に負荷がかかってしまうんですよね。そこで、3代目は腰骨のところにベルトを装着できるようにして、加重の負担を分散させることにしました。
2代目のリュックがどのように使われているのか、球場に足を運んで調査しました。何人かのキャストは、腰のベルトを付けていなかったんですよね。なぜ彼女たちはベルトを付けていなかったのか。仕事をしていて「ベルトを付けても重さは変わらない」ということを感じていたんですよね。
土肥: 腰のベルトがおへその上にあったから?
デサント: はい。次に、背中の部分にフレームを搭載することにしました。2代目には鉄板のようなモノが入っているのですが、役割としてはカバンがクネクネしないようにするモノなんですよね。つまり、強度を補強するのが目的。
土肥: 3代目に搭載しているフレームの目的は?
デサント: 最初の設計では、フレームがない形でつくろうと思いました。ベルトの位置を高くすることで重心を上にもってきたのですが、さらに上にもっていくためにはどうすればいいのか。そこで、背中の部分にフレームを搭載することで、荷重を腰より上にもってくることができました。そうすることで、過度な前傾姿勢になりにくくなるんですよね。
また、肩にあるベルトと結びつけることにしました。なぜこんなことをするかというと、肩にあるベルトを引っ張ることで荷物を引き上げる効果があるんですよね。
土肥: デサントは山登用のリュックを開発されている。確かそのリュックの中にもフレームが入っていますよね。今回、サーバー用のリュックを開発するにあたって、やはりそのへんの知見を参考にされた?
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