「震災時、コンビニの営業は難しい」これだけの裏事情:コンビニ探偵! 調査報告書(4/5 ページ)
4月14日、熊本地震が発生した。しかし、その5日後に、大手コンビニチェーンの97%の店は営業を再開したという。このニュースを聞いて、多くの人は「それはよかった」と感じられたかもしれないが、筆者の川乃氏は違和感を覚えたという。なぜなら……。
フランチャイズビジネスの限界
フランチャイズビジネスは、商品を売り、売った利益を加盟店と本部で分け合うのが基本である。その商品は、店からの発注によって納品されることになる(例外はあるが)。
電力を失った店は、発注ができない。すると、調達できる商品だけ納品することになる。では、調達された商品はすべて売ることができるのか。答えは「NO」である。
震災で被害を受けなかった商品をとりあえずトラックに積み込み、店に運ばれることになるのだが、そうした商品のすべてが震災時に使えるモノとは限らないのである。「いまこのタイミングでは必要ないだろう」といったモノまで運ばれてくるのだ。
店としては「確かに、残っているモノを送ってくれとお願いしたが、いま『ワサビ』なんて売れないぞ」と思ってしまうのである。しかし、ルール上、商品の廃棄は店の責任になる。
震災で被害を受けるわ、商品は売れないわ、必要な商品はないわ……という事態になっているので、なぜオレは店を開けなければいけないんだという気持ちになる。東日本大震災のとき、被害を受けたオーナーの多くは、このようなことを考えていたのではないだろうか。
冒頭のニュースの中で「過去の教訓生かす」と書かれているが、これは物流問題の解決がスムーズに行なわれたということだろう。震災時に協議なしで納品するカテゴリーを決めたり、売れ残った商品の責任または負担の所在といった、事務的処理部分を予め決めておくことで、問題点を物流拠点と物流網だけに絞れたのではないだろうか。結果、問題解決のスピードが上がり、店舗再開もスムーズに行なわれたのだろうと、みている。
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