今日もまたIoT技術を積んだJR山手線が走る その目的とは?(1/4 ページ)
JR東日本が運行する電車の利用者数は一日あたり約1710万人。しかし、それだけの顧客数がいるにもかかわらず、一人一人の顔はほとんど見えない。そんな中、個々の顧客サービスを高めるために同社がリリースしたサービスが「山手線トレインネット」だ。実はそのサービスの裏には同社が注力するある技術が活用されているという。
東北から関東、甲信越エリアにまで張り巡らされた営業路線は7458.2km、駅数は1665駅。毎日1万2416本の列車が走り、一日平均利用者数は約1710万人に上る。JRグループの中でも最大規模を誇るのが東日本旅客鉄道(JR東日本)だ。
主軸であるこの鉄道事業に加えて、近年は駅ビル型ショッピングセンター「ルミネ」や駅ナカ施設「エキュート」などの生活サービス事業、電子マネー「Suica」の活用を広げるIT・Suica事業などにも力を入れる。この数年は増収増益を続けており、2016年3月期の連結決算でも売上高2兆8000億円(前期比1.6%増)、営業利益4450億円(同4.1%増)、最終利益2380億円(同31.9%増)を見込む。
乗車前に混雑状況が分かる
そんな同社が以前から力を入れる取り組みの1つが、鉄道利用客の利便性向上だ。
「鉄道は多くの方にご利用いただくものの、利用者一人一人の顔は見えない。JR東日本では個々人に応じたサービス提供をしたいと以前から思っていたところへスマートフォンが登場した。これにより利便性の高いサービスが提供できると考えた」と、JR東日本 総合企画本部 技術企画部で技術戦略PTを務める中川剛志氏は背景を説明する。
その具体的な一例が、2014年3月10日にリリースしたモバイルアプリサービス「JR東日本アプリ」だ。これはJR東日本管内を走る複数の路線の運行状況を知らせるほか、チケット予約や駅構内図の閲覧などができる。現在までに180万ダウンロードを記録する。
そのアプリの中で目玉と言えるのが「山手線トレインネット」という機能である。これは山手線の電車がどこを走っているのかをアニメーションでリアルタイムに通知することに加え、その電車の車両ごとに取り付けられたセンサシステムによって乗車率(車両重量で判断)や室温などの情報も提供する。つまり、ユーザーはホームで待ちながら次の電車がいつ到着して、その電車の混雑状況がどうなのかを乗る前に把握することができる。
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