現場は影響あるの? セブン-イレブンの“ドタバタ劇”:コンビニ探偵! 調査報告書(4/4 ページ)
鈴木敏文会長が退陣したことで、セブン&アイ傘下のセブン-イレブンには、どのようなインパクトがあるのだろうか。今回は、筆者の経験談を交えながら、コンビニ店舗が受ける影響と変化についてご紹介する。
店舗の方針はブロック長次第
会社に支社があるように、コンビニ本部もブロック(地域)ごとに“長”がいる。そのブロック長は頻繁に交代しており、そのたびにイチイチ方針が変わるので厄介なのだ。
ブロック長としては、自分の地位向上のために新しいことを考えているのだろうが、コロコロ変えられると店としては迷惑この上ない。あるとき、筆者の店の担当がこんなことを言い出した。
本部社員: 競合店で、ソフトドリンクのスペースを広げているようです。ソフトドリンクは利益の高い商品群でもあります。ぜひ、この店でも広げましょう。
筆者: この狭いスペースの中で、何を減らすの?
本部社員: ビールの棚を縮小しましょう。
筆者: はあ? ソフトドリンクのスペースを広げているのは街道立地の店でしょ? ウチは住宅立地だよ。アルコールの棚を狭くしてどうするの?
本部社員: しかし、これは地域の方針ですから……。
筆者: じゃあ、変えた店舗の立地、売り上げの数字、利益率、全てのデータを持って来てよ。話はそれからだ。
結局、筆者は従わなかった。それから数カ月後にブロック長が交代したとたん、ソフトドリンクのスペースを広げた店は元に戻したという笑えない話があった。
世の中には、コンビニのようなフランチャイズじゃなくても、いわゆる業務請負会社が取引先の会社の人事によって影響を受けることもあるだろう。
「どちらの立場が上なのか」という話をするつもりはない。しかし、かつて巨大コンビニの下にいた筆者としては、本部の人間にも「現場で何が起きているのか」をもう少し知ってもらいたい。
今回、業界トップのセブン-イレブンが大きな変革を迎えようとしている。これは、コンビニ業界全体にも影響を及ぼすだろう。今後、どのような動きをするのか、注目していきたい。
著者プロフィール・川乃もりや:
元コンビニ本部社員、元コンビニオーナーという異色の経歴を持つ。「タフじゃなければコンビニ経営はできない。優しくなければコンビニを経営する資格がない」を目の当たりにしてきた筆者が次に選んだ道は、他では見られないコンビニの表裏を書くこと。記事を書きながら、コンビニに関するコンサルティングをやっています。「コンビニ手稿」
関連記事
- コンビニ合併話に浮上するチェーンはどこか 2016年は「再編地固めの年」
2015年は「ついに動いた」という1年であった。コンビニの再編である。では、2016年はどうなるのか。某コンビニでオーナーを務めていた川乃氏に占ってもらったところ……。 - コンビニがめでたく“結婚”するには? 2つの高い壁
このところコンビニ再編の動きが活発化しているが、よく考えるとコンビニ再編のカンフル剤にも足かせにもなるものがある。それは各社が展開するプライベートブランドと、提携しているポイントカードだ。経営統合した場合、これらはどうなるのだろうか。 - だからコンビニの店舗数は1位でなければいけない
ファミリーマートとサークルKサンクスの合併で、コンビニの勢力図が塗り替えられることになりそうだ。これでファミリーマートの店舗数は業界2位となり、ココストアとの合併が完了すれば、店舗数で日本一となるわけだが……。 - コンビニで「食品ロス」が絶対になくならない理由
ココイチのビーフカツ横流し問題を受け、食品廃棄に関するニュースが増えてきたように思う。毎日のように食品を廃棄しているコンビニ関係者にとっても気になるところだろう。今回は、コンビニの食品廃棄の現状とその問題点について考察したい。 - 本部はやっぱり怖い……コンビニが夏に「おでん」を売るワケ
暑い夏の日にもかかわらず、コンビニでは「中華まん」や「おでん」といった“熱いモノ”が販売されている。買っている人は少ないだろうに、なぜ暑い日におでんを売っているのか。その理由は……。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.